2004年9月22日(水)「しんぶん赤旗」
国際的にも不法性が明らかな米国のイラク戦争を支持したことに居直り、それに引き続く軍事支配に、憲法違反の自衛隊派兵で引き続き加担すると表明した小泉政権の姿勢は異常というほかありません。
イラク戦争をめぐっては、国連のアナン事務総長が十五日のテレビインタビューで「われわれ(国際社会)の観点からも、国連憲章上からも、違法なものである」と強調しました。米国のパウエル国務長官は十三日の議会証言で、イラクの大量破壊兵器について「発見することはありそうにない」と認めるなど、イラク戦争の違法性や「大義」のなさが改めて国際的に注目されています。
そうしたなか、小泉首相は二十日の同行記者との懇談で、「イラクは大量破壊兵器を使用し、かつ国連決議に反していない証明をしなかった」とイラクに非があったかのようにのべ、イラク戦争支持を正当化しました。しかしこの言い分はすでに破たんしています。
いくら過去に使用していたからといっても、開戦当時にイラクが大量破壊兵器を持っていたことの証明にはなりえません。ましてや「保有」を断言していたパウエル長官自身がその事実を否定した以上、もはや通用しない話です。「国連決議に反していない証明」にいたっては、それにつながる大量破壊兵器に関する国連査察団の活動を中断に追い込んだのは、ほかならぬ米英両国によるイラク侵攻でした。首相の言い分は事実を逆さまに描くものです。イラク戦争支持の根拠が大もとから崩れ、自衛隊派兵の「大義」も崩れたことは明白です。
そうした不法な占領・軍事支配だからこそ、イラク国民の反発・敵意も高まり、それがテロをよびこむ土壌すら生み出しています。町を包囲し、老人や子どもなど民間人を虐殺し、拘束したイラク人に拷問・虐待を繰り返すなどの米軍の無法ぶりも、いまのイラクの混乱のもととなっています。そのなかで米兵千人、イラク市民一万数千人が殺されています。
自衛隊派兵の口実とされた“復興支援”も前提が成り立たない状態です。
六月以降、占領軍は米軍主導の「多国籍軍」に衣替えしたものの、米国の必死の働きかけにもかかわらず、新たに派兵をした国はほとんどなく、逆に撤退する国が相次いでいます。アラブ諸国軍の派兵工作も失敗しています。イラクの世論調査では、80%が多国籍軍は即時または来年一月の選挙後に撤退すべきだと答えています。
米軍によるイラク軍事支配がまさに破たんに直面しているなかで、自衛隊派兵を継続することは、小泉政権がどこまでも米軍主導の不法な軍事支配を支えようという意思を表明するもの。国際的に孤立し、米国とともに泥沼に足を踏み入れるものでしかありません。山崎伸治記者