2004年9月23日(木)「しんぶん赤旗」
小泉純一郎首相は二十一日午後(日本時間二十二日朝)、国連総会で演説し、国連安全保障理事会の常任理事国に日本が参加することを求めました。これについて日本共産党の志位和夫委員長は二十二日、国会内で記者会見し、次のように見解をのべました。
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一、日本が国連で重要な役割を果たしたいというなら、日本政府は、まず何よりも、アメリカいいなりの現状から抜け出し、国連憲章にもとづく平和秩序を築くために、自主的な平和外交をおこない、世界諸国民の信頼をえるために努力することが先決だ。
首相は、「唯一の被爆国」としての役割を強調したが、日本政府は、国連総会で核兵器の緊急廃絶をもとめる決議が提出されても、それに賛成しないという態度をとってきた。被爆国の政府にふさわしく、核兵器廃絶でも積極的なイニシアチブを果たす立場への転換が、強く求められている。
そうした自主的な平和外交への根本的転換ぬきに、常任理事国入りをもとめても、国際社会の支持をえられるものではない。
一、現行国連憲章のもとでは、安保理常任理事国は、憲章四二条にもとづいて組織される国連軍に兵力を提供することが当然の前提となり、さらに憲章四七条にもとづいて組織される軍事参謀委員会に代表をおくり、国連の軍事作戦を戦略的に指導する責任をおうことになる。常任理事国としてのこれらの義務と責任は、わが国の憲法九条と明白に矛盾するものである。
実際の動きをみても、いま日本政府がすすめている常任理事国参加の動きが、憲法九条の改定、海外派兵国家づくりの動きと一体のものであることは、小泉首相の一連の改憲発言、米国パウエル国務長官の「常任理事国に参加するためには憲法改定が必要」との発言でも明らかである。常任理事国への参加問題を、日本の軍事大国化をすすめる梃子(てこ)にしようという動きに、わが党は強く反対するものである。
一、国連改革にあたっては、つぎのような基本的原則でのぞむべきである。
――国連憲章にもとづく平和な国際秩序づくりへの努力を、けっして後退させることなく、前進・強化することに資する方向での改革が必要であること。
――国連創立時には五十一カ国だった加盟国が、その後の植民地体制の崩壊とアジア・アフリカ・ラテンアメリカ諸国の独立によって百九十一カ国まで広がったことに象徴されるような、世界の大きな構造変化に対応して、世界の諸国民の声が公正に反映される方向での改革が必要である。その具体化のためには、国際的な協議をつうじた合意づくりをじっくりおこなうことが求められている。