2004年9月23日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長は二十二日放映のCS放送・朝日ニュースターの番組「各党はいま」に出演し、焦点となっている問題について質問に答えました。聞き手は朝日新聞論説委員の梶本章氏。
冒頭の質問は、国民的関心を呼んでいるプロ野球のストライキ問題。
「選手会の主張と行動に道理がある」。こう切り出した志位氏は、「一部の球団経営者が自分たちの経営上の都合だけでプロ野球を再編するという動きにたいし、プロ野球はファン、国民のものだという立場に立って選手会が行動している。そこに道理があるし支持したい」とのべました。
小泉首相と自民党郵政族の「対立」などと報じられている郵政民営化。
しかし、政府が閣議決定した基本方針には、ユニバーサル(全国均一)サービスが守られている郵便や、身近で安心して預けられる郵貯、簡保がどうなるのか――肝心の国民サービスがどうなるのかという国民が知りたい問題が何も明らかにされていません。
この点を指摘した志位氏は「大銀行が自分たちのもうけ口を新たに広げていくうえで郵貯や簡保が邪魔だ、だから民営化してしまえという思惑から出発している。国民不在というのが一番の特徴だ」とのべたうえで、民営化すればどうなるかを解き明かしました。
政府の基本方針は、郵政公社を郵便、郵貯、簡保、窓口ネットワークの四社に分割・民営化。郵便についてはユニバーサルサービスを「維持する」としています。逆にいえば、郵貯、簡保は、過疎地からの撤退などユニバーサルサービスからの後退を意味します。
それでは郵便は本当にユニバーサルサービスが維持されるのか。
志位氏は第四種の点字郵便の有料化などサービス後退が避けられないと指摘。さらに、新たにつくられる窓口ネット会社も、経営上から見て危うくなるとのべました。
現在の郵便局網が独立する窓口ネットは、郵貯や簡保、郵便からの委託料で経営します。ところが、郵貯や簡保は過疎地からの撤退などが予想されます。そうなれば郵便だけから入ってくるお金で窓口ネット会社を維持することができません。
志位氏は、次のようにのべました。「郵便のユニバーサルサービスも維持する基盤がなくなることになる」「三事業全部でユニバーサルサービスの大幅な後退が起こる。郵便局の全国ネットワークがズタズタになる」
民営化に反対というなら、自民党の「郵政族」議員と同じなのか。
この質問に志位氏は、「(小泉首相と「郵政族」は)対立しているように見えるが大差はない」とズバリ。「自分たちの古い利権を守るという立場からの『抵抗』の声はあるが、民営化そのものが根本から間違っているという反対論はほとんど聞かれない。国民にとってのかけがえない公共サービスを守ろうという立場から対応しているのは日本共産党だけだ」と力をこめました。
自民党旧橋本派の一億円ヤミ献金事件。受け取った橋本龍太郎元首相らは不起訴処分とされ、ヤミ献金を国民政治協会、自民党本部経由で議員個人に迂回(うかい)させた疑惑など核心部分は未解明のままです。
「会計責任者の起訴だけですまされない。ひきつづき真相の全容究明が必要だ」と志位氏。迂回献金について「政治家個人への献金を事実上青天井にし、どこからきたか分からないヤミの金になる脱法、違法的な金の流れだ」として、「これをなくすには政党にたいする企業・団体献金の全面禁止に踏み込むことがいよいよ大事になっている」とのべました。
小泉純一郎首相が国連総会で表明する安保理常任理事国入り問題をどう見るのか。
志位氏は二つの問題点があると指摘しました。
一つは、日本の外交のあり方です。日本は米国いいなりを改め、国連憲章に基づく平和の秩序確立に資する自主外交に転換すべきであり、「それ抜きに常任理事国入りといっても国際社会の支持は得られない」ことです。
もう一つは憲法上の問題です。常任理事国には国連憲章上、国連軍への兵力提供と軍事作戦の指揮が義務づけられます。「武力行使と軍備を持つことを禁じた憲法九条とは両立しない」のです。
パウエル米国務長官は常任理事国になるために憲法を変えなければだめだと言い出すなど、憲法改定をねらう動きとも結びついています。
志位氏は「常任理事国入りの議論をすることが憲法改定と海外派兵をすすめるテコになっている。これがいま常任理事国入りを小泉首相が声高に言い出したことの背景にある」と批判しました。