2004年9月23日(木)「しんぶん赤旗」
国が横浜市に同市内の米海軍基地を返還する条件として、米海軍・池子住宅地区(横浜市金沢区、神奈川県逗子市)の横浜市域での米軍住宅七百戸の増設を受け入れるよう求めていた問題で、中田宏・横浜市長は二十二日、増設を受け入れ、国との協議に入ることを明らかにしました。
同計画は、横浜市内の遊休化した上瀬谷、深谷、富岡などの米海軍基地を返還する条件として、池子住宅地区に米軍住宅を増設するというもの。同地区での米軍住宅の「追加建設はない」とした国、県、逗子市の三者合意(一九九四年)を破るもので、逗子市は、計画の白紙撤回を求めて国を提訴しています。
中田市長は八月に、国に対して基地の返還対象の拡大と池子住宅地区での米軍住宅増設の戸数削減を提案。この提案を受けた第三回日米協議(九月二日)で、日米政府は返還対象の一部拡大と、増設戸数の百戸削減で合意しました。
中田市長はこの合意について「市の新たな提案を重く受け止め」たものだと評価。一方で、地元の「池子(横浜市分)接収地返還促進金沢区民協議会」に意見を聞いたが「そのご意見は、さまざま」だと住民の合意が得られていないことを認めたうえで、返還と増設をセットにした協議に入ることを表明しました。
日本共産党県委員会(小池潔委員長)と党横浜市議団(大貫憲夫団長)は同日、受け入れに抗議する見解を発表しました。受け入れは日米地位協定の規定でも、無条件で「即時返還されるべき遊休施設を交換材料とする理不尽な国の要求に屈したもの」だと批判。「米軍施設の早期全面返還」を市是とする市の立場に反し、基地の再編強化に手を貸すものだと指摘。日本共産党は、増設計画の白紙撤回に向け、ひきつづき奮闘すると表明しました。