日本共産党

2004年9月23日(木)「しんぶん赤旗」

スペイン、スイス首脳が賛同

アナン演説「法による対処を」


 武力による一部の国の対テロ戦争か、法に基づく国際社会全体の協力か―。二十一日の国連総会では、イラク侵略戦争を改めて正当化し、今後も対テロ戦争の継続を表明するブッシュ米大統領と、テロなどの脅威に対処するためにも法の支配の確立を訴えるアナン国連事務総長の演説が好対照をなしました。つづいて演壇に立ったスペイン首相やスイス大統領は、国連無視のイラク戦争や武力偏重の対テロ戦争を批判して、アナン氏を支持。米国の孤立が深まりました。

 スイスのダイス大統領は、安保理承認なしでの戦争は「破たんする運命にある」「最終的には国際的な安全状況を悪化させる」と厳しく批判しました。

 イラク戦争の口実となった大量破壊兵器については、パウエル米国務長官が十三日、「いかなる備蓄も見つかっておらず、将来も見つかりそうにない」と表明し、米政府調査団も、兵器が存在しなかったとする最終報告を出すといわれています。ブッシュ大統領は「世界の要求」で戦争を始めたなどと主張しましたが、「世界の要求」はまったく逆であることが改めて浮き彫りになっています。

 こうしたなかでブッシュ氏が強調したのは、相変わらず、力による対テロ戦争の継続や武力によって政権転覆したイラクなどをモデルにした米国流民主化を進めることでした。アナン氏は、これに対して、「中東、イラク、または世界での長期化する紛争を解決する基礎は国連安保理決議を含む法である」と強調。力でなく法による対処を呼びかけたのは、まさに世界の大勢を反映したものといえるでしょう。

 イラクから軍を撤退したスペインのサパテロ首相は、「三十年に及ぶ(スペインでの)テロの経験から学んだことは、民主主義が損なわれ、政府が市民の自由を制限し、先制攻撃を実施したときに、テロの危機が高まるということだ」と主張。政治的な手段による脅威への対処を訴えました。

 岡崎衆史記者



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