2004年9月23日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 昔は、一学級50人以上がふつうだったと思います。いま、少人数学級がいわれますが、なぜですか? 教育効果はあるのですか?(埼玉・一読者)
〈答え〉 昔と今では、教室の雰囲気はだいぶちがいます。突発的にキレる、立ち歩くなど困難をかかえる子どもも少なくありません。また塾通いの有無で「学力」差もひろがっています。これらは子どもの責任というより、大人社会がつくりだしたものです。こうしたなかで、教員が子ども一人ひとりと丁寧に接することができる少人数学級は切実な願いとなっています。
すでに少人数学級にした地方では、効果がはっきりあらわれています。たとえば鳥取県(小一・二年と中一年の一部で30人学級)では、小学校では、学級担任の96%、保護者の81%が、少人数学級を「大変よい・よい」と答えています。教員からは、「子どもの活躍する場面が増えた。学習の理解度が把握しやすく、理解不十分な子により多く支援をすることができた」、保護者からは、「心の安定、落ち着きが感じられる。私語がなくなった」などの感想が寄せられています。
少人数学級の教育効果は、世界でも日本でも認められています。
アメリカの研究で有名なのは、「グラス・スミス曲線」と呼ばれる、学級規模が小さくなるに従って、学習の到達度、情緒の安定、教員の満足度が高くなるという調査結果です。
日本教育学会の「学校・学級の編制に関する研究委員会」の調査研究(1999年)では、たとえば中学校の数学では「生徒一人当たりの発言回数が少ない」は「36人以上学級」で81・7%ですが、「15人以下学級」は28・4%にへります。生活面でも、「落ち着きのない生徒が多い」とこたえた教員は、「15人以下」学級23・1%にたいし、「36人以上」学級は49・2%です。調査にあたった学者は「学級規模25人前後を境に教育効果は大きく変わる。学級定員の標準は20人程度とすべき」と述べています。(森)
〔2004・9・23(木)〕