2004年9月24日(金)「しんぶん赤旗」
教育基本法改悪の動きは、与党内の議論、条文項目の検討段階から政府内の法案づくりという実施に向けた作業段階に入ることになりました。
すでに河村建夫文科相は「省としては早く法案化して国会に出したい。総理からも早くするよういわれている」(中央教育審議会総会、三月)とのべ、小泉純一郎首相も国会で「与党としての共通した認識を持って国会に提出する準備を、これからも精力的に進めていただきたい」(衆院決算行政監視委員会、六月)とのべています。来年の通常国会提出をめざした準備は急ピッチになるとみられ、各地に広がっている改悪反対の運動も重要な局面を迎えることになります。
教育基本法「改正」は、自民党が求める「愛国心」教育を盛り込みつつ、政府による教育支配のいっそうの強化を狙ったもので、改憲とセットで推進。公明党は、「愛国心」をめぐる表現の違いはありつつも、「教育の目標」として法案に取り入れることで自民党に同調し、文科省に法案化作業のゴーサインをだしました。
民主党は「創憲と連動して新基本法の創造」(党教育基本問題調査会声明、六月)と与党協議に呼応。同党の有志議員は自民党議員とともに「教育基本法改正促進委員会」を発足(二月)させました。民主党議員のなかからは「お国のために命を投げ出しても構わない日本人を生み出す」(西村真悟衆院議員、「朝日」二月二十六日付)との声まであがります。
通常国会への具体的な提出時期について文科省は、「与党が合意していない部分があり、その情勢しだいだ」(教育改革推進室)とのべ、はっきり見通せる状況ではありません。自民党が「改正」の目玉にしたい「愛国心」の条文上の表現について、「国を愛し」(自民)、「国を大切にし」(公明)との間にある溝が埋まらないことも影響しています。
来年の通常国会を前に河村文科相は、義務教育費国庫負担廃止方針をめぐる政府内部の対立のなかで、義務教育は「国の根幹」と意義づけ、九日の中央教育審議会総会に「義務教育改革」の工程表を提案しました。
その中の、学校教育法に定められた小中学校の目的・目標の見直し、学習指導要領を見直し、義務教育修了段階での到達目標を明確化するなどのメニューはいずれも、教育基本法「改正」の際に見直しが必要になってくるものです。同「改革」案は、公立小中学校の教職員給与の半分を国が負担する義務教育費国庫負担制度の必要性をアピールしたものですが、基本法見直しを前提とした内容になっていることは見逃せません。
坂井 希記者