2004年9月24日(金)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=浜谷浩司】国連総会は二十二日も各国首脳が演説を行い、ブッシュ米大統領が前日の演説で「反テロ戦争」を強調したのに対し、不正義や貧困などテロの根源にメスを入れるよう求める声が途上国から相次ぎました。
パキスタンのムシャラフ大統領は、テロの脅威や大量破壊兵器の拡散などの背景に、「国家間の力の不均衡の拡大」や「諸国民の正当な願いの抑圧」があると指摘。テロとたたかうには根本原因に取り組む明確な長期的戦略がなければならないと主張しました。
イスラム世界ではパレスチナの悲劇が何よりも怒りを呼び起こしているとし、イスラエルが建設している分離壁の撤去をはじめ、パレスチナ問題の解決を要求。イスラエル寄りの姿勢をとる米国に対し、「平和の公正な仲介者であるべきだ」と迫りました。
イラクについて同大統領は、平和と安定の回復は「統治権限をイラク国民に移譲し、国民が天然資源を全面的に支配できるようになってこそ実現される」と指摘。また法と秩序、治安はイラクの警察や民兵が受け持つのが最適だと述べました。
さらに、国連憲章に基づく多国間協調による紛争の公正な平和的、持続的解決を求めました。
レバノンのファレス副首相も、イスラエルのパレスチナ占領地からの撤退と、パレスチナ国家建設、難民帰還を要求しました。
一方、南アフリカ共和国のムベキ大統領は、社会開発サミットや世界女性会議の十周年など節目にあたる来年を目前にしながら、課題が達成されていないと指摘。力のある者はテロや戦争の脅威を強調するが、力なく貧しい人々にとっては貧困と低開発こそが「主要な脅威だ」と強調しました。
パナマのトリホス大統領もラテンアメリカの実情を述べた中で、軍事クーデターによって民主主義が破壊される危険が大きく減る一方で、貧困は民主主義を台なしにしかねないと訴えました。