日本共産党

2004年9月25日(土)「しんぶん赤旗」

生活保護 就労計画点検し罰則

「自立」名目で減額・停廃止

厚労省が提案


 厚生労働省は二十四日、生活保護制度「改革」を検討している社会保障審議会の専門委員会に、生活保護受給者への「自立・就労支援」を理由に、生活保護費の「減額」「保護の停廃止」などを盛り込んだ「自立支援プログラム」を提案しました。


 「プログラム」は、現状の問題点として(1)保護費など経済的給付のみでは被保護者の抱えるさまざまな問題への対応に限界がある(2)保護の長期化を防ぐための取り組みが不十分(3)ケースワーカーなど担当職員個人の経験に依存する実施体制にも限界がある―ことを指摘。福祉事務所などが「自立計画」を策定、支援したうえ、保護を受けている人の取り組みが「不十分」と認めた場合には「保護費の減額又は保護の停廃止」も考えるとしています。

 厚労省は「自立計画」に含まれる就労活動のメニューとして、職業訓練、面接の受け方などの研修、福祉ボランティアなどを盛り込んでいます。

 今回の提案は生活保護切り下げ策の一環です。現行制度のもとでも、保護申請者が「稼働能力」=働くことのできる能力を「活用」していないことなどを理由に保護が認められなかったり、保護費の減額、停廃止などの例が相次いでおり、審査請求や訴訟も起きています。不況、失業増により生活保護受給者が増えているもとで、生活苦の実態を無視して「減額」「停止」という罰則で脅かすような「就労支援」になれば、生活保護からの排除をいっそう強めることにもなります。

 各委員からは、自立、就労を支援する必要性は認めながらも、それを保護費の減額、停廃止と結びつけることは「慎重に検討すべきだ」「(結論として)最初に出すべきではない」などの意見が出されました。また、保護の受給要件としての「稼働能力の活用」の基準があいまいであり「しっかりした基準のもとで(プログラムを)実施しないと、現場が混乱する」などの意見も出されました。

 生活保護 国民が生活に困ったとき、憲法二五条に明記された「生存権」にもとづき、国が国民の最低限度の生活を保障する制度。受給を希望する本人が福祉事務所や市町村の窓口に申請し、資産などの調査をふまえて受給の是非が決定されます。




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