2004年9月25日(土)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=浜谷浩司】ブッシュ米大統領は二十三日、イラクで「あくまで仕事をやりぬく」と述べて、米民間人二人が殺害されるなどイラクでの著しい治安悪化に懸念が強まっているにもかかわらず、戦争継続の意思を重ねて表明しました。
同大統領はイラク暫定政府のアラウィ首相とホワイトハウスで記者会見し、イラク戦争の継続が「米国にとって国益」であり、「イラクで成功すれば米国はもっと安全になる」と強弁しました。
また、イラク治安部隊の増強やインフラ(経済・社会基盤)改善、国際支援の拡大などについて、米政権の計画にそって「着実な前進」がみられると主張しました。
民主党のケリー大統領候補は、イラクの事態が泥沼化を深めているにもかかわらず、ブッシュ大統領は現実を見ていないと批判を強めています。
実際、米主導の多国籍軍に参加する国は減少し、イラク治安部隊の訓練では米政府自身がその遅れに頭を痛めています。
大統領は「計画」の最後に、来年一月のイラク選挙実施を挙げました。しかし、ラムズフェルド国防長官は同日の議会証言で、「暴力が激しすぎる地域がある」ことを理由に、四分の一あるいは五分の一の地域で選挙が実施できない可能性を認めました。同長官が主張するように「やらないよりはまし」という選挙では、主権国としての政権の正統性確保は不可能です。
大統領選挙の投票を四十日後に控え、ブッシュ大統領の会見は米国民の懸念の払しょくに向けられており、イラクの現状をなんとか楽観的に描き出そうと努めました。
一方、ブッシュ政権の意向を受けて就任したアラウィ首相は同日、米議会で演説し、米国のイラク侵攻は「正しい選択」だったとして、感謝を表明。ブッシュ再選を後押しする姿勢を示しました。