日本共産党

2004年9月26日(日)「しんぶん赤旗」

ヘルパー

8割が非正規職員

うち7割は月収10万円未満


 ホームヘルパーの八割以上が「登録型」などの非正規職員で、そのうち七割が月収十万円にも満たないことが、中央社会保障推進協議会(中央社保協)と全国労働組合総連合(全労連)が共同実施したアンケート調査でわかりました。調査は介護保険制度見直しを前に、ホームヘルパーの実態と要求を明らかにするために実施したものです。

 調査協力者二千四百二十一人のうち非正規職員(契約、パート、登録など)は83・1%、その多くが、自宅から利用者宅に直行して直帰する登録型でした。

 非正規職員の月平均労働時間は五十時間以下(39・2%)、五十時間以上八十時間未満(29・1%)あわせて68・3%が「八十時間未満」の短時間雇用です。

 そのため手当を含む月収は「十万円未満」が69・3%も。ヘルパーの賃金だけで生計を維持することができない実態が明らかになりました。ヘルパーを続けるために必要なこととして、62・3%が「生活できる賃金の保障」と回答しています。

 非正規職員で社会保険に加入しているヘルパーはわずか21・5%で、76・9%が加入していません。雇用保険に69・7%が加入していませんでした。移動時間の賃金(または手当)について、過半数が未払いか、賃金に含まれているかわかりません。

 事業所における勤務形態は、「直行直帰」が63・2%でした。

 二十六日に東京都内で開かれる「第三回ホームヘルパー全国学習交流集会」(主催・同実行委員会)で発表されます。



社保協、全労連アンケート調査
グラフ
ヘルパーのアンケート
 中央社保協と全労連がおこなったホームヘルパーにかんするアンケート調査では、「現在、ヘルパーの仕事について思っていること」の自由記入欄に多くのヘルパーが記入しています。その一部を紹介します。
利用者が入院したり最期を迎えたら仕事が即なくなり、次の利用者の仕事を紹介されるまで無報酬の期間が補償もなく続く。ガソリン代や修理代の持ち出しもバカにならず、年金や健康保険料の支払い等が重くのしかかり、生活の安定がないままこの仕事を続けるべきか悩む事がしばしばあった。
利用者の要望にこたえられない
「生活援助」は大変神経を使う。生活を支えていく大切な行為であることを考えると介護報酬が「身体介護」より低く設定されていることに納得がいかない。
心のケア、ふれあいを大切にしたいが、いまの介護保険の枠では特に痴呆(ちほう)の利用者の場合、少ない時間で活動せざるを得ず、やむを得ずサービス活動をしては責任者ににらまれている。
経験年数にかかわらず同一報酬。長年頑張っても退職金も雇用保険もない。
ヘルパー同士の交流の機会もほとんどなく他職種との連携も現実にはおこなわれることのない現状では利用者や家族の要望にこたえる事はできない。
使い捨てにすればやがては消滅
一見時給は他のパートより高いように見えますが、移動時間を考えると大差はない。私の場合、ハードな1日でサービス時間は実働6時間半ですが拘束時間は8時間以上になります。しかも昼食は10分から15分で早食べして移動します。
こんなに専門性と体力が要求されるのにどうして社会的評価と賃金が安いのか理解に苦しむ。ヘルパーを使い捨てにすれば専門性は継承されず、ヘルパーはやがて消滅する。
全国展開の大きな事業所を退職しました。ヘルパー同士の交流はさせない。事例検討はしない。FAX1枚で予定表を送り、機械的にヘルパーを動かしているだけ。



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