2004年9月30日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長は、二十九日の定例記者会見で、小泉首相の靖国神社参拝を「当然」とした町村信孝外相の発言、改憲によって集団的自衛権の行使を容認すべきだとした大野功統防衛庁長官の発言について、「タカ派政治の暴走が起こっている。歴史の逆行を許さないたたかいがいよいよ重要だ」と、強く批判しました。
志位氏は、町村外相の発言について、「靖国神社は、戦前、侵略戦争と軍国主義推進のシンボルであり、戦後も、あの戦争を『正しい戦争』として美化し、A級戦犯を合祀(ごうし)している、特殊な神社だ。そこに首相が参拝することは、侵略戦争肯定の立場に身を置くことを意味する」と強調。「首相の参拝を当然視し、アジアでの侵略戦争をおこした反省がない外相では、まともなアジア外交はできない」とのべました。
大野防衛庁長官の発言について志位氏は、「この発言で重大なのは、『集団的自衛権を行使できないとどんな不便が出てくるのか』と問われて、長官が『例えば、イラクに自衛隊を派遣する場合、非常に制約が伴う。そこにいる他国の軍隊の軍人が攻撃を受ける場合に、手をこまねいていていいのか』と答えていることだ」と指摘しました。
イラクに自衛隊を派兵するさいに、憲法による「制約」とされているのは、「武力の行使はしない」「戦闘地域に行かない」ということです。この「制約」をとりはらうということは、イラク戦争のような米国がひきおこした海外での無法な戦争に、武力行使をもって公然と参加するということに、ほかなりません。
志位氏は、「大野発言は、ここに憲法改定と集団的自衛権行使の目的があることを、はっきりとのべた点で、きわめて重大だ」と批判しました。
そのうえで志位氏は、次のようにのべました。
「小泉首相は、参議院選挙中に、集団的自衛権行使のための改憲を主張したが、その時には、『米軍が日本を守るためにたたかっている。その時に何もしなくていいのか』と、ともかくも『日本を守る』ということと結びつけて、集団的自衛権の行使を主張した」「ところが、大野発言は、集団的自衛権の行使の目的が、『日本を守る』とはまったく無縁であること、米国の海外での無法な戦争への参戦にあることを『正直』に語ったものだ。ここに改憲論の真相がある。『集団的自衛』の名による『集団的侵略』への道を許さないたたかいがきわめて重要だ」