2004年9月30日(木)「しんぶん赤旗」
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「突然、こんなに税金を取られたら生活ができない」。千葉県船橋市に住む川俣孝雄さん(71)が悲鳴をあげます。“「公的年金等控除」を縮減して「老年者控除」が廃止となるため、非課税だった年金受給者に年間九万円を超える税金がかかる”との全日本年金者組合の試算を聞いたからです。
現行では六十五歳(配偶者控除あり)以上で、年二百八十五万五千円までの年金受給者には、所得税はかかりません。ところが、控除が減らされると、二〇〇五年からは二百五万三千円から課税され、住民税も支払うことになります。これに国民健康保険や介護保険の保険料も増えてしまいます。
同組合の久昌以明・政策委員会事務局長は「控除の廃止、縮小は、年金の収入は変わらないのに、税金や社会保険料を増やすやり方。影響が大きい」と指摘します。
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全日本年金者組合の試算では、年金額二百五十万円で現在は非課税のAさんは、〇五年一月から課税対象です。〇六年四月からは住民税、国民健康保険や介護保険の保険料も増えます。これらを合計すると年額が九万二千四百円にもなります。
年額三百万円の年金を受けて課税されているBさんの場合は年十一万二千百円、三百五十万円のCさんは同十三万四千七百円の税負担増になります。(表)
久昌さんは「年金の国庫負担割合を三分の一から二分の一にするための財源だと政府は言うが、それを年金生活者に負わせるのは本末転倒」と憤ります。さらに「来年度予算をめぐって検討されている定率減税の縮小、廃止はやめさせるべきです。消費税の増税を許してはなりません」と話します。
(注)公的年金の所得税は、年金額から「公的年金等控除」を控除して「所得額」を出します。「所得額」から「基礎控除」「配偶者控除」「老年者控除」などを控除し、税率(三百三十万円未満は10%)をかけ、さらに「定率減税」分の二割を引いた額が最終的な税額になります。