2004年9月30日(木)「しんぶん赤旗」
【ロンドン=西尾正哉】英国のブレア首相は二十八日、同国南部のブライトンで開かれている労働党大会の演説で、イラクの大量破壊兵器に関する機密情報が誤っていたことを認める一方、イラク戦争そのものについては謝罪しないと開き直りました。
ブレア首相は、「サダム(フセイン元イラク大統領)が生物・化学兵器を保有しているとの証拠は虚偽であったことが判明した」と言明。その一方で「情報については謝罪できるが、サダムを排除したことは謝罪できない。サダムが権力の座から刑務所に行き世界はよくなった」として、戦争強行の理由をすりかえイラク戦争を「正当化」しようとしました。
「首相、あなたの手は血まみれではないのか」。演説がイラク戦争のくだりに入ると、会場から叫び声が上がり、首相は演説を一時中断し苦笑いを浮かべました。
事前に配布された演説原稿には、「この問題(イラク戦争)は国を二分した」と述べたあとに「心から申し訳ない」との謝罪がありましたが、演説では省かれました。
来年の前半に見込まれる総選挙を前に、首相は演説の大半を内政課題にあてました。首相は「勤労家族のために第三期目の労働党政権が行うこと」として、生活水準の向上、雇用の増大など十の政策をあげました。