2004年9月30日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 自民・公明両党が合意した教育基本法「改正」案の中間報告に、教育の目標として「国を愛する」ことが明記されたと聞きました。日本共産党は、愛国心―「国を愛する」ということについて、どう考えますか。(神奈川・一読者)
〈答え〉 ご指摘のように、6月16日に「与党教育基本法改正に関する協議会」がまとめた中間報告には、「教育の目標」に盛り込むべき内容として「国を愛し」もしくは「国を大切に(する)」という「態度の涵養(かんよう)」が明記されています。
日本共産党は、8月の第2回中央委員会総会で「愛国心とは本来、国民一人ひとりの見識や社会の自主性にゆだねられるべき問題」と指摘し、教育基本法に「愛国心」を明記することは「特定の内容をおしつけることによって、国民の内心の自由の侵害につながりかねない」という見地を明らかにしました。
そもそも、日本語の「国」という言葉は、英語に置きかえるとland country nation state(ランド カントリー ネーション ステート)というように、違った内容が含まれます。landは自然的な国土、countryはそこに住む人々の集団、nationはその政治的統一体、stateは国家機構をさします。「国を愛する」という場合、そのどれを対象にするかで、意味がまったく違ってきます。そして、いずれの場合も特定の内容を押しつけるなら、内心の自由の侵害になりかねません。
第23回大会決議案についての中央委員会報告は「愛国心をめぐっても、他国を敵視したり他民族を蔑視する立場とむすびついた『愛国心』か、諸民族の対等・平等、相互尊重と平和共存の立場とむすびついた愛国心かが、鋭く対立しています」と指摘しています。戦前、天皇制の専制支配と侵略戦争に反対した人々は、「国賊」「非国民」とされ、きびしい弾圧を受けました。しかし、その主張の正しさは戦後、国民主権の原則と戦争への反省・放棄が日本国憲法に書き込まれたことによって実証されました。憲法をまもり、とりわけその平和と民主主義の諸条項の完全実施をめざす立場こそ、真の「愛国心」とも言えるのではないでしょうか。(文)
〔2004・9・30(木)〕