日本共産党

2004年10月3日(日)「しんぶん赤旗」

小泉首相の「本土移転」発言

米先制攻撃戦略を後押し

新基地の重圧そのまま


 小泉純一郎首相が一日の講演で在沖米軍基地の本土移転を進める考えを示したことは、現在米軍が進めている再編計画と重大な関係があります。

再編で機能強化

 米軍再編計画は、「予期しない脅威に直ちに対処できるよう、部隊と能力の一部を新しい場所に移す」(ブッシュ大統領、八月十六日の演説)というもので、先制攻撃戦略を具体化することが最大の狙いです。

 もともと在日米軍は日本防衛ではなく、海外への殴りこみの任務をもった軍隊です。その再編も殴り込み機能をいっそう強化する方向に向かうものです。

 再編をめぐっては、ファーゴ米太平洋軍司令官が三月の議会証言で「陸上自衛隊との相互連関性を増大させる方法を探っている」と発言。七月にはグレグソン米太平洋海兵隊司令官が在沖米海兵隊の本土への一部基地移転は可能だとの見解を明らかにしています。

 沖縄に駐留する米海兵隊の一部を陸上自衛隊の矢臼別演習場(北海道)や米軍キャンプ富士のある東富士演習場(静岡県)に移転する案が取りざたされています。

 自衛隊基地との統合は、米軍と自衛隊との一体化をすすめ、日本をいっそう米軍の軍事作戦に動員するもの。小泉首相の発言は、米ブッシュ政権が全世界的規模で進めている米軍再編計画を、日本政府が全面的に後押しすると表明したものです。

自治体押しつけ

 さらに重大なのは、小泉首相のいう「本土移転」が沖縄の基地被害の軽減につながるかどうかという点です。

 九月の日米首脳会談は、米軍ヘリ墜落事故をきっかけに沖縄で米軍基地撤去の世論が高まるなかで開かれました。しかし、会談は焦点の普天間基地問題が取り上げられた様子はなく、それどころか小泉首相は事故に抗議すらせず、米軍の「抑止力の維持」を要請しました。

 一日の講演後、小泉首相は記者団に、普天間基地問題について「SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)にもとづいてやる」とのべ、名護市辺野古沖への新基地建設は推進することを強調。これでは県民が望むような「負担軽減」どころか、新たな基地の重圧がのしかかるだけです。

 小泉首相は講演で「沖縄以外も、少しは『自分たちも持っていい』という責任ある対応をしてもらいたい」とのべ、強い姿勢で自治体に受け入れを押し付ける構えです。

 結局、小泉首相の発言は「沖縄の負担軽減」を“錦の御旗”にして、沖縄県民には新基地の負担をそのままにし、移転先には基地被害の負担拡大を担わせることにつながるものです。

 山崎伸治記者



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