2004年10月6日(水)「しんぶん赤旗」
|
日本共産党の志位和夫委員長は五日、国会内で記者会見し、小泉純一郎首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」の報告書(四日)について「『自衛』の名で世界のあらゆる地域に軍事介入する国へと日本のあり方を大きく変質させ、自衛隊を文字通りの『海外派兵隊』に変質させるという、地球規模での軍事大国化の宣言であり、(こういう方向は)絶対に許すわけにはいかない」とのべました。
志位氏は、報告書が「自衛」の概念を拡大し、日本自身の「自衛」だけではなく、海外の邦人・企業を守るために「遠方の脅威」も取り除く「自衛」が必要であるという論理を打ち出していることを指摘。かつて日本が「満蒙(まんもう)は日本の生命線」といって中国侵略を拡大し、「自存自衛」というスローガンで太平洋戦争に乗り出していったことに触れ、「『自衛』概念を途方もなく拡大することで間違った戦争に突き進んだ過去の反省はないのかが問われる」と批判しました。
第二に志位氏は、世界のあらゆる地域への軍事介入、自衛隊の「海外派兵隊」への変質という方向が「日米軍事同盟を文字通り世界的な規模に拡大していくことと一体に打ち出されている」と指摘。報告書が提唱した新たな「日米安保共同宣言」「日米軍事協力の指針(ガイドライン)」の策定について、一九九六年の「日米安保共同宣言」や九七年の「ガイドライン」は日米安保体制を「極東」から「アジア・太平洋」に広げたものだったが、報告書はそれを「世界」に広げ、「米軍と自衛隊が一体となって世界のあらゆる地域に軍事介入する体制をつくることをめざすものだ」とのべました。
第三に志位氏は、報告書が言及している集団的自衛権の行使について、これが世界的規模で日米両軍が作戦行動をするという文脈でのべられていると指摘。小泉首相は改憲と集団的自衛権を「日本を守る」ためという口実とむすびつけて主張するが、「報告書は、改憲の目的が『日本を守る』こととは無関係であり、世界に軍事介入することにあることを物語っている」と強調しました。
第四に志位氏は、報告書が武器輸出三原則の見直しを提起していることについて、大国の武器輸出が軍事紛争を悲惨なものにするなど有害な役割を果たしてきた中で、日本が憲法九条のもとに同原則をとってきたことは国際的な信頼につながってきたと強調し、「これを投げ捨てることは許されない」とのべました。