2004年10月6日(水)「しんぶん赤旗」
【カイロ=小泉大介】米軍がファルージャやサマラなどイラク中部で無差別攻撃を激化させていることにたいし、イラク国内やアラブ諸国では、これを無差別殺りくの蛮行だと非難し、イラクにいっそうの混乱をもたらすだけだという声が高まっています。
イラクのイスラム教スンニ派有力組織、イスラム聖職者協会のファイディ報道官は三日、記者会見し、米軍が一日から二日にかけておこなったサマラ攻撃を「多くの女性や子どもを無差別に殺害することを目的とした真の大量虐殺だ」と糾弾しました。
同報道官は、米軍が同地のモスク(イスラム教礼拝所)に押し入り、屋根の上から女性や子ども、さらには動物にいたるまで動くものを手当たり次第に銃撃したとのべるとともに、現地住民の証言として、米軍の攻撃の激しさで救急車も現場に近づけず、通りでは女性の死体を犬があさっている場面まで見られたと惨状を告発しました。
報道官によれば、米軍は病院にも押し入り、入院中の患者までも乱暴に身元を調べました。
またサマラから脱出しようとする住民の車にも銃撃を加え、住民はチグリス川を船で渡ることを強いられたといいます。
この米軍の蛮行にエジプト紙アルグムフリア三日付社説は「占領下の自由などありえない」との見出しを掲げ、「これだけの子どもや女性が殺害されている時に、(ブッシュ米大統領たちは)いったいどのような自由国家を語れるというのか。自由はこの醜い占領からイラク人が解放され、領土を侵略者から奪い返すまで達成されることはない」と強調しました。
エジプトのアルアハラム紙四日付社説は「攻撃は(来年一月の)選挙のためといわれるが、このような武力の行使は選挙の役にはまったく立たない。それどころか、多数の市民の殺害と破壊がもたらすのはイラクのさらなる混乱と不安定である。選挙準備は政治的方法でおこなわれなければならず、軍事的な解決はありえない」と主張しました。
ヨルダン紙ヨルダン・タイムズ四日付は社説で、米軍のイラク攻撃とイスラエル軍のガザ侵攻が同時進行していることを「なんという偶然の一致!」とのべ、米政権がイスラエル政府を後押ししている現状を指摘。「占領は抑圧であり、占領は国連憲章を侵害するものだ。占領者はそれをよく理解するがよい」と強調しました。