2004年10月6日(水)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=遠藤誠二】ラムズフェルド米国防長官は四日、ニューヨークの外交評議会で講演し、イラクのフセイン元政権と国際テロ組織アルカイダを関係づける「強い証拠はない」とのべ、両者が連携しているとしたイラク戦争前の自らの発言を否定しました。
大量破壊兵器は発見できない、とのパウエル米国務長官の証言(九月十三日)に続き、イラク戦争の口実が完全に崩れたことをブッシュ政権首脳が認めたものです。
ラムズフェルド長官はこの講演で、「われわれは大量破壊兵器を発見していない」ともう一つのイラク侵攻の理由についても否定しました。
ラムズフェルド長官は、「私の知る限り、(フセイン元政権とアルカイダの)二つを関連づける、否定しがたい強い証拠は見ていない」と言明。同時に、「この疑問についての答えが、米情報機関の中で驚くほどに変化し、また意見の違いもあった」と語り、中央情報局(CIA)をはじめとする情報機関内で、イラクとアルカイダの関係について賛否両論と混乱があったことを明らかにしました。
同氏はイラク攻撃前の二〇〇二年九月、「過去十年間にわたる高いレベルでの交流と化学・生物兵器訓練」などでのフセイン政権とアルカイダとの連携を強調していました。イラク開戦後の昨年九月、9・11対米同時テロへの同政権の関与の証拠はないと軌道修正しましたが、アルカイダとのつながりまでは否定していませんでした。
ラムズフェルド氏は「情報機関がなぜ誤ったのか、私は答える立場になく、本当に分からない」と表明。一方で、「しかしフセイン(元大統領)が権力に居続けるより刑務所にいる方が世界にとってはより良い」と居直る姿勢を見せました。