2004年10月7日(木)「しんぶん赤旗」
【カイロ=小泉大介】イラク暫定政府のアラウィ首相は五日、同政府の監督機関である諮問評議会で演説し、米軍が同国中部などで行っている「武装勢力掃討」を口実にしたイラク人大量殺りく攻撃へのイラク治安部隊の参加を継続するとともに、新たな作戦も検討していると表明しました。暫定政府指導部と米占領軍との一体性があらためて鮮明になった格好です。
アラウィ首相は「われわれは(来年一月予定の)選挙にむけ、これに適した環境をつくらなければならない」「よって政府は、治安という国民的事業を妨害する勢力を追撃するため、新たな計画をつくることを決定した」と述べました。
同首相は「新計画」の中身には触れませんでしたが、一方で、イラクの秩序が回復されるまで多国籍軍の駐留が必要とし、「われわれの軍事作戦は、治安が回復するまで、多国籍軍の支援を受けながら継続される」と表明しました。
今月一日から二日にかけて、米軍が三千人の部隊を投入して行った中部サマラ攻撃では、イラク治安部隊二千人も参加、女性や子どもにたいする無差別爆撃に手を貸しました。この攻撃に関しては、イラクのイスラム教スンニ派有力組織、イスラム聖職者協会が「サマラで発生したことのすべての責任は暫定政府が負わなければならない」と強調するなど、米軍に協力する暫定政府にたいする非難がかつてなく高まっています。
米軍の無差別攻撃にはアラブ世界からも、「今日サマラで起きていることと、明日他の都市で起きようとしていることは大量虐殺と完全な破壊であり、米軍がベトナムで枯れ葉剤まで使って実行した作戦と同じである。戦争は今も続いており、それは侵略軍が撤退するまで終わることはない」(ヨルダンのアッライ紙四日付)など、怒りが広がっています。