2004年10月8日(金)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=遠藤誠二】イラクで昨年六月から大量破壊兵器の捜索にあたってきた米イラク調査グループ(ISG)は六日、イラクの大量破壊兵器は存在せず、備蓄もその計画自体もなかったと最終的に結論づける報告書を発表しました。ISGのダルファー団長は米中央情報局(CIA)特別顧問。ブッシュ政権がイラク戦争開始の根拠としてきた大義が完全に崩壊したことが米国自らの手で明らかになりました。
千ページに及ぶ報告書は核兵器の開発について、「(湾岸戦争後の)一九九一年以降、イラクが核兵器開発を再開し進展させる能力は衰えていた」「九一年後、フセイン(元大統領)が同計画を再開させることを提案した証拠は発見していない」と指摘。フセイン政権に核兵器開発の能力とともに、開発の意思もなかったとしています。
化学兵器については、「放棄された古い化学弾薬が少数発見されたが、イラクは九一年に化学兵器を一方的に破壊した」とし、生物兵器に関しては、「九六年以後にイラクが新たな生物兵器計画を持った直接的な証拠はなかった」と記述。生物・化学兵器両方について、それ自身の存在と政府の開発の意思について調査団は証拠をみいだせなかったとのべています。
六日の上院軍事委員会公聴会で証言したダルファー団長は、「サダム(フセイン)は戦争前に、兵器を持つ選択をしなかったことは明らかだ」と発言。フセイン政権にとって、大量破壊兵器の開発より「国連の制裁解除が優先課題だった」と指摘しました。
イラク調査グループ(ISG) 昨年のイラク侵攻後も戦争の大義に掲げたイラクの大量破壊兵器が発見されなかったので、その捜索のために米政権が派遣した調査団。米中央情報局(CIA)要員ら千数百人が動員されました。初代団長のケイCIA前特別顧問は今年一月、「兵器はなかった」と発言して辞任。ダルファー氏が後を継ぎました。