日本共産党

2004年10月9日(土)「しんぶん赤旗」

「愛」に悩む? 自公

教基法改悪

条文の表現めぐり


 「徐々に氷が解けかけてきているかなという感じは持っている。前ほどかたくなではない」。ある文教関係の自民党議員がこう語るのは、公明党の教育基本法「改正」にとりくむ姿勢についてです。

 自民・公明両党は、現在、基本法「改正」法案づくりでひざをつきあわせている仲。「与党間で合意できている部分から、文科省に条文化の作業を進めさせることも了承した。自民党内でも『よくここまで来たなあ』の声があがっている」。自民議員はいいます。

「慎重」だったが

 公明党は、教育基本法の見直しには「慎重」な姿勢を示してきました。二〇〇三年三月に、中央教育審議会(文科相の諮問機関)が教育基本法の見直しを求める答申を出したときにも、「教育基本法は準憲法的な性格を持つ。議論は慎重を期する必要がある」とのコメントを発表しています。

 〇三年五月、自民党、保守新党とともに「与党・教育基本法に関する協議会」(幹事長・政調会長らで構成)を発足させました。この時点でも、現行法の条文の検討作業を進める「与党・教育基本法に関する検討会」の設置には、首をタテに振りませんでした。

 しかし翌六月、保利耕輔元文相を座長とする「検討会」の設置に同意。基本法の具体的な見直しを進める土俵に乗りました。これを境に、態度を変化させていきます。今年一月には、「協議会」「検討会」の名称に、「与党教育基本法改正に関する…」と「改正」を明記するよう冬柴鉄三幹事長が提案。自民党を驚かせました。

 六月にまとめた参院選公約「マニフェスト123」では「基本法を補完・補強するための見直しの検討が必要であると認識します」と明記。積極的にとりくむ姿勢を鮮明にしました。

 有事法制やイラク派兵を推進してきたことと同様、教育基本法の問題でも“与党としての立場”を優先するということでしょう。

違いは一文字

 冒頭の自民議員の感想のように「氷が解けかけてきている」なか、合意にこぎつけていないのが「愛国心」を法律にどう盛り込むかです。

 自民党は、新基本法の「教育の目的」に「郷土と国を愛…する態度」を入れるべきだと主張。公明党は「戦前回帰を連想させる」「統治機構も愛せというのか」と難色を示し、「郷土と国を大切に…する態度」との表現を提案。「愛」の一文字を入れるかどうかで難航しています。与党協議会の「中間報告」は、両案を併記したままです。

 公明新聞の九月二十七日付主張も、「『愛する』という個人の主観的な営みを、権力による強制力を伴う法律で規定することは、近代立憲主義の根本である『内心の自由』を侵害することにつながりかねず、賛成できない」としています。

 「『愛し』を『大切にし』に変えるなんて、自民党は絶対に認められない。むこう(公明党)に解けてもらわないと…」。前出の自民党議員はこういい、どうしたら公明党の譲歩を引き出せるかを日々思案中だといいます。

 (坂)



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