日本共産党

2004年10月9日(土)「しんぶん赤旗」

戦争泥沼化で兵力増強を要求

ベトナムの教訓に学ばない米支配層


 米国のイラク占領統治の最高責任者を務めたブレマー前文民行政官が四日、私的な会合の場でイラクに「十分な兵力を配置しなかった」ことを重大な過ちであったと発言しました。五日付の米紙ワシントン・ポストが明らかにしました。

 ブッシュ政権によるイラク侵略・フセイン政権打倒後のイラク占領支配の最高責任者であったブレマー氏のこの発言は、イラクの安定化がうまくいかなかったことを兵力不足のせいにする責任逃れの感がありますが、かつて米国のベトナム侵略戦争においても米軍司令官がいつも口にしてきた言葉です。

 ウェストモーランド将軍が南ベトナム派遣米軍の司令官をつとめた一九六四年から六八年までに南ベトナムの米軍は一万七千人から五十万人以上に増加しました。彼は在任中、いつもベトナムでの米軍兵力の不足を嘆き、ワシントンにたいし増派要求を繰り返したのです。

 彼の増派要求は六五年七月に十万人、六五年十一月には十五万四千人へとエスカレートし、六七年三月には二十万人になりました。上司であるマクナマラ国防長官が増派の効果に疑念をもったため、この要求は承認されませんでしたが、実現していたら米軍総兵力は六十七万人を超えていました。

 最高時五十万を超える米軍が第二次世界大戦で使用した砲爆弾の三倍を使用してもベトナム国民を屈服させることはできませんでした。国家の独立・主権、民族の自立心を軍事力で制圧できないことは、ベトナム戦争の教訓からも明らかです。

 米国はいま、イラクの泥沼化に手を焼き、抵抗の強い地域への軍事制圧作戦を強化しています。無差別の軍事作戦の犠牲となったイラクの人々の反発は強まるばかりです。

 米国はベトナムで実現できなかったことを、イラクで実現しようとしていますが、歴史の教訓に学ばない愚行に成功の見こみはありません。

 鈴木勝比古記者



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