2004年10月14日(木)「しんぶん赤旗」
【カイロ=小泉大介】イラク多国籍軍を主導する米軍は十二日、同国中西部で「武装勢力掃討」を口実に、イスラム教徒にとって神聖なモスク(礼拝所)の急襲を含む激しい攻撃を行い、宗教関係者や住民の激しい反発をよんでいます。
米軍とイラク治安部隊は十二日未明、首都バグダッド西方約百キロのラマディの八つのモスクを急襲、イスラム教スンニ派有力組織であるイスラム聖職者協会のアンバル州責任者アルサーディ師を拘束しました。武装勢力との戦闘でイラク人二人が死亡しました。
米軍はモスク襲撃の理由を「武装勢力の隠れ家となっている」などとしていますが、現地からの報道によると、同軍はモスクのドアをけり破り、内部の家具などを破壊するとともに、イスラム教の啓典であるコーランを集め引きちぎるなどの蛮行を働きました。
イスラム聖職者協会の同地責任者ムハンマド師は「米軍はイラクにおける殺人、破壊、拷問に加えて、聖なるモスクの侵略という新たな犯罪を行った」と非難しました。同協会は十二日に声明を発表し、米軍は宗教戦争を開始したと指摘するとともに、イラク国内のすべての宗教者がこれを非難するよう呼び掛けました。同協会はイラク中部を中心に約三千のモスクに影響力をもつとされ、住民の反米感情がさらに高まるのは必至です。
米軍は十二日には、西部のヒートを空爆、イラク人二人が死亡、五人が負傷しました。同地では十一日、米軍の爆撃によってモスクが炎上する事態も発生しています。
バグダッド西方約五十キロのファルージャでは十二日午前、レストランなどに対する米軍の二度の空爆でイラク人六人が死亡しましたが、米軍は十二日夜にも同地に五百ポンド爆弾を投下するなど攻撃を激化させています。