2004年10月14日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 広辞苑で「共産主義」を引くと「私有財産制の否定と共有財産制の実現によって貧富の差をなくそうとする思想・運動」とあります。日本共産党は、どう考えているのですか?(埼玉・一読者)
〈答え〉 未来社会(=社会主義・共産主義社会)における私有財産問題については、日本共産党第23回大会の綱領改定のさいに重視した点の一つです。改定綱領では、この問題について、マルクス、エンゲルスの考えまでさかのぼり、誤解の余地のないように次のように規定しました。
「社会主義的変革の中心は、主要な生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移す生産手段の社会化である。社会化の対象となるのは生産手段だけで、生活手段については、この社会の発展のあらゆる段階を通じて、私有財産が保障される」
私たちが考える未来社会は、国民が働けば働いただけ豊かになる社会です。
「共産主義は私有財産を取り上げる」という誤解はマルクスの時代からあり、日本でも戦前戦後を通じて、日本共産党への悪口を言うためにくり返されてきました。
マルクス、エンゲルスは1867年に完成した『資本論』第一部で、未来社会の変革の中心が「生産手段の社会化」であることをみちびきだしました。(1)変革によって社会化されるのは、生産手段だけで、生活手段を社会化する必要はない(2)そこを明らかにすることで逆に、生活手段については、私有財産として生産者自身のものになる権利が保障される、としたのです。
『資本論』刊行から間もない時期に「労働者から財産を奪う」という攻撃がインタナショナル(国際労働者協会)に加えられたとき、エンゲルスは「インタナショナルは、個々人に彼自身の労働の果実を保障する個人的な財産を廃止する意図はなく、反対にそれ〔個人的財産〕を確立しようと意図しているのである」(全集17、615ページ)と反撃しています。
広辞苑の記述は、素朴な共産思想にはみられても、マルクス、エンゲルスが到達した考えや日本共産党の考えにはあてはまりません。(喜)
〔2004・10・14(木)〕