2004年10月15日(金)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長は十四日の衆院本会議で代表質問に立ち、平和や暮らしなど緊急課題で小泉純一郎首相を追及。「イラクは大量破壊兵器を保有している」と断定してイラク戦争を支持した首相の立場が成り立たないことを道理と事実で明らかにしました。首相はまともに答弁できず、国民をあざむいて戦争を支持したことがうきぼりになりました。
イラクの大量破壊兵器について、六日に米調査団が「(イラク戦争開戦当時)保有せず、開発計画もなかった」との最終報告を発表、ブッシュ政権のイラク戦争の口実は崩れました。それでも小泉首相は「かつて保有し、使用した」「イラクが国連の査察を拒否した」として、戦争支持は正しかったと答弁しています。
志位氏は、最終報告が「イラクの大量破壊兵器開発能力は九一年に破壊されていた」と認定したことを紹介し、首相のいう「保有・使用」はいつのことかと追及。さらにイラクが九八年十二月にいったんは査察を拒否したものの、二〇〇二年九月に受け入れ、再開されていたことを指摘したうえで、「それ以後に拒否したことがあるか。国連安保理がそれを認定したのか」と迫りました。
首相は、大量破壊兵器使用について八〇年代のことしかあげられず、査察拒否についても、九八年以降は国連監視検証査察委員会のブリクス委員長が〇三年三月に「協力的でない」とのべたこと以外答えられず、安保理が査察拒否を認定したとする根拠も示せませんでした。
自民党旧橋本派への一億円ヤミ献金事件について、志位氏は、日本歯科医師連盟からの献金が自民党本部を経由して政治家個人に流れる「迂回(うかい)献金」だった疑惑を指摘し、自民党の組織ぐるみの疑惑だと追及。政治をカネで買うわいろである企業・団体献金の全面禁止に踏み込むべきだと強調しました。
小泉首相は「迂回献金はあってはならない」といいましたが、党総裁としての責任にはふれず、企業献金は「正しいもの」とする立場をくりかえしました。
十月から実施された改悪年金法は、出生率など法律の前提となる数字が虚構だったことが発覚しました。志位氏は「破たんが明白なのに負担増と給付減だけ押し付けるのは納得できない。中止し、やり直すべきだ」と主張。首相は数字の虚構について、「長期的なすう勢から大きくはずれない」とのべました。
政府が「見直し」作業をすすめている介護保険は、保険料と利用料が高すぎ、必要なサービスが受けられないという構造的欠陥を抱えています。志位氏は、厚生労働省の「見直し意見」ではこの欠陥を検討した形跡すらないと指摘。国として保険料・利用料の減免制度をつくるよう求めました。首相は「負担軽減を図っている」などと具体策にはふれませんでした。
「郵政民営化」について志位氏は、(1)郵便局網がずたずたにされ、全国均一サービスも基盤を失う(2)民営化後の郵貯、簡保も少額預金から手数料を取り立てるなど、庶民サービスも切り捨てられる―と強調し、「銀行業界のもうけのために国民サービスを切り捨てるものだ」と批判。首相は「過疎地に配慮する」というだけでした。
在日米軍の「再編」問題をめぐって、アジア太平洋全域とインド洋、アフリカ東岸までを活動範囲とする米陸軍第一軍団の司令部を神奈川県の米軍座間基地に移転させ、司令官に在日米軍も指揮させる構想があります。志位氏は「在日米軍の活動範囲を『極東』と定めた日米安保条約第六条にてらして許されるのか」と追及。在日米軍の主力である海兵隊と空母打撃群の「抜本的な縮小・撤去」を求めました。
首相は「再編」について日米間で協議していることは認めましたが、詳細を明らかにせず、「安保条約の枠内でおこなわれる」とのべるにとどまりました。
志位委員長は十四日、代表質問後の記者会見で、イラク問題での小泉首相の答弁について次のようにのべました。
「首相はイラクの大量破壊兵器保有を断定してイラク戦争を支持し、いずれ見つかるといいつくろって自衛隊を派兵した―この二つのウソが、国民をあざむく歴史に汚点を残すウソだったことが明らかになった。イラクが国連による査察を拒否した、国連決議の義務を果たさなかったと一方的に決めつけているのはアメリカと日本で、国際社会は認定していない。首相答弁はそのことを示すものとなった」