2004年10月15日(金)「しんぶん赤旗」
自民党の保岡興治議員は十四日、衆院憲法調査会で、「憲法調査会が終わったあと、両院にしっかりした常設の憲法を論ずる機関をただちに継続して起こすことが必要ではないか」とのべ、来年の報告書提出後に議案提出権をもった常設機関として「憲法委員会」を設置することを提案しました。
保岡氏は、憲法委員会について「(九月に)海外調査を一緒にした民主党の先生方とも話したが、やはり常設の憲法委員会が必要だというのが率直なみなさんの意見だったと受け止めている」とのべ、民主党議員と認識が一致していることを強調しました。
民主党の枝野幸男議員は「民主党としてこの問題について公式の立場で決めたり、他の党のみなさんと協議している状況ではない」と弁明しましたが、改憲案を審議する憲法委員会を設置すること自体は否定しませんでした。
日本共産党の山口富男氏は、「憲法の諸原則をゆきわたらせるために国会の各委員会が審議しているので、新委員会設置の必要はない」と改憲に向けての憲法委員会に反対。社民党の土井たか子氏も憲法委員会設置の動きを批判しました。
公明党の赤松正雄氏は「常設委員会については慎重でなければならない」とのべました。
十四日の衆院憲法調査会での自民党・保岡興治議員(党憲法調査会長)発言は、憲法改悪を具体化させる動きです。
自民・民主が進めつつある改憲草案作成、与党がすすめる国民投票法案作成の作業と並んで、国会の改憲発議(憲法九六条)にむけて改憲案の審議と発議提案をおこなう場と位置付けられているのが「憲法委員会」です。
自民党は、「憲法委員会」の設置を四月の同党憲法調査会で決定し、与党協議の場に持ち出していました。
この憲法委員会の設置について民主党への働きかけが表面化したのは、九月五日から十七日まで行われた調査会の海外調査においてでした。
海外調査は自民党から中山太郎衆院憲法調査会長、船田元議員、民主党からは仙谷由人政調会長、枝野幸男前政調会長が参加したのに加え、自民党から保岡氏、中谷元、近藤基彦の両議員が「自費」で参加しました。
海外調査期間中、枝野氏がポスト調査会として「恒常的な常設の機関が必要だ」(「読売」九月十四日付)、保岡氏が「憲法委員会を作る国会法改正案が来年の通常国会で成立することが望ましい」と発言したと報じられました(同九月十八日付)。
今回の保岡発言は、調査期間中に自民党と民主党で協議が行われたことをうかがわせるものです。
自民党と公明党は、来年の通常国会に憲法改悪へ向けた国民投票法案と国会法「改正」案の作成作業を進めています。この国会法「改正」案には憲法委員会の設置が盛り込まれる可能性があります。
保岡発言は、そこに民主党を引きずり込み、二大政党による改憲への流れを具体的につくり出そうという動きが強まっていることを示しています。
中祖寅一記者