2004年10月16日(土)「しんぶん赤旗」
【カイロ=小泉大介】米軍とイラク暫定政府が「テロ活動の首謀者」の引き渡しをファルージャ住民に要求していた問題をめぐって、住民代表側は「そのような人物はいない」として交渉の中止を表明しました。この交渉がなお行われていた十四日午後から夜にかけ、米軍は六月中旬に同市への空爆を開始して以来最大規模の攻撃を空と陸から行いました。この攻撃で住民五人が死亡、十六人が負傷しました。
暫定政府のアラウィ首相は前日の十三日、テロの首謀者とするザルカウィ氏の引渡しを求め、それが果たされなければ大規模攻撃も辞さないと最後通告していました。一方、停戦交渉のファルージャ代表の宗教指導者アサド師は十四日、カタールの衛星テレビ・アルジャジーラで、「米軍の軍事攻撃は、停戦交渉の最中に行われ、多数の民間人が殺害された」「その米軍も発見できなかったザルカウィ氏をなぜわれわれが引き渡せるのか」と怒りをあらわにしています。
停戦交渉の住民代表の一人であるカリム氏も「ザルカウィの名前は(イラク戦争開戦の口実となった)大量破壊兵器と同じだ」とのべ、政府の姿勢を厳しく批判していました。
今年四月に米軍の攻撃で住民約七百人が虐殺されたファルージャの情勢は、「武装勢力掃討」を理由にした米軍の軍事攻勢に加えイラク暫定政府の同軍への追随姿勢によって、再び多数の住民犠牲を生みかねない重大局面を迎えています。