日本共産党

2004年10月20日(水)「しんぶん赤旗」

民主提案受け入れ

かじ切り替えた小泉首相答弁

08年からの 保険料上げ凍結、増税へ


カギになった「年金一元化」

 十九日の衆院予算委員会での長勢甚遠議員(自民)にたいする小泉首相答弁は、三党合意にもとづく与野党協議に入るため民主提案を受け入れることを示した、岡田代表へのメッセージといえます。民主党との違いを強調してきた従来の首相答弁から、かじを切り替えたことになります。

 自民・公明・民主の三幹事長の間で結んだ三党合意(五月六日)は、年金改悪法案の衆院通過を容認しただけでなく、年金など社会保障制度全体の「一体的見直し」を口実に消費税増税のレールを敷いたものです。二〇〇七年度以降の実施を見通し、実施にいたる手順として与野党協議会の設置がもりこまれました。

 これを実行に移すうえでカギになっていたのが「年金一元化」にたいする対応でした。

 「一元化」の中身について、民主党は国民年金(自営業などが加入)を含めた公的年金制度の一本化を主張。自民党は、民間サラリーマンが加入の厚生年金と、公務員などが加入する共済年金との統合を先行させることを提案。消費税増税を年金財源にあてる民主案にたいし、年金はじめ医療・介護など社会保障全体の財源として消費税増税の検討を求めるのが自民・小泉案でした。

 十三日の代表質問での民主・岡田代表の「三項目提案」は、三党合意に調印した当時の民主党幹事長として、改めて「年金一元化」への同調を首相によびかけたものです。小泉首相は、このときの消極答弁を返上し、受け入れ方向を明確にしたのです。

消費税増税の議論に弾み

 さらに重大なことは、首相答弁で消費税増税への具体的シナリオが浮かびあがったことです。

 首相は、改悪法で18・3%となっている厚生年金保険料の引き上げ上限を、途中の15%で止めるという議論があると紹介。「15%を超えることとなる平成二十年(二〇〇八年)までに良い結論を見いだしたいという考えも理解できる」とのべました。

 厚生年金保険料は13・58%から十四年連続で引き上げられますが、二〇〇七年には14・996%となり、〇八年に15%を超えます。〇七年に消費税増税を導入し、15%で止めるというのが首相の紹介した議論です。財界と連合が中心になって、描かれているシナリオです。15%保険料は経団連が主張していたもの。笹森清連合会長は「労使が応分の負担をするとしても負担率15%・給付率55%がそのリミットだろう。…二〇〇七年の時点でまず(保険料)上限・(給付)下限のハドメをがっちりおさえたうえで福祉目的税を導入していくことを(首相に)提起した」(「連合」六月号)とのべています。「〇八年に結論」に理解を示したのは、こうしたシナリオに期待を表明したもので、消費税増税の議論に弾みをつけることがねらいといえます。斉藤亜津紫記者



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