2004年10月24日(日)「しんぶん赤旗」
【カイロ=小泉大介】イラク駐留多国籍軍を主導する米軍が攻撃を強めているイラク中部ファルージャで二十二日、住民約一万人が空爆などに抗議するデモをおこないました。一方、米軍は同日、爆撃を厳しく非難するイスラム教スンニ派有力組織、イスラム聖職者協会の指導者を逮捕。ファルージャをめぐる情勢は一段と緊迫しています。
アラブ首長国連邦の衛星テレビ・アルアラビアは二十二日、デモに参加し米軍に激しく抗議するファルージャ住民の様子を放映。デモを前にした同地の各集団礼拝は、住民の米軍にたいする怒りで異様な雰囲気に包まれていたと伝えました。
同テレビは空爆の被害者にもインタビュー。ある二十代の男性は「断食明けの夕食を家族でとっていたところに爆弾が落ちてきた。家族全員が死んでしまい、残されたのは私一人だ」とカメラに向かって叫びました。
一方、ロイター通信によると、米軍は二十二日未明、バグダッドのモスク(イスラム教礼拝所)を急襲し、イスラム聖職者協会指導者の一人、アブデル・ジャバル師を同師の息子二人とともに拘束しました。
同協会のファイディ報道官は、「この逮捕はイスラム聖職者協会だけに向けられたものではない。米占領に反対するすべての声を弾圧する作戦の一環だ」と厳しく批判しました。アブデル・ジャバル師が通常、集団礼拝の説教をおこなうモスクの周辺ではこの日、数百人の信者が同師の解放を求めてデモをおこないました。
イスラム聖職者協会は米軍のファルージャ攻撃激化をうけ、二十日にはバクダッドで対応を協議する会議を開催。「米軍の攻撃がつづく限り、すべてのイラク国民に選挙をボイコットするよう呼びかける」とする声明を発表していました。
スンニ派政党、イラク・イスラム党のハミド党首も、ファルージャ攻撃がさらにつづけば暫定政府からの撤退も辞さないとの立場を表明しており、反米世論はかつてないほど高まっています。