2004年10月26日(火)「しんぶん赤旗」
厚生労働省は二十五日、都内で開かれた社会保障審議会障害者部会で、「現下の障害者支援費制度は制度的に破たんしている。新たに構築しないと制度が存続できない」として前回会合で示した障害者政策の抜本的見直し案(「改革のグランドデザイン案」)について、二回目の説明を行いました。
グランドデザイン案は、これまで身体、知的、精神の障害種別だった福祉政策を共通の制度に統合し、サービスの提供主体を市町村に一元化したものです。国・都道府県は市町村を、「効果的に支援」するなど、役割を後退させる点が特徴です。
サービスの提供は「新しい給付体系」として再編し、(1)ホームヘルプサービスやショートステイなどの障害者介護給付(介護にかかる個別給付)(2)就労支援を中心とする障害者自立支援給付(3)地域での住まいの確保など障害者地域生活支援事業―の三本柱で打ち出しました。これにより、「総合的な自立支援システムを構築する」としています。
障害者介護給付は、介護保険との統合を念頭に置いたもので、サービス費用の利用量に応じて自己負担が大きくなる「応益負担」の導入を明記。施設利用者にたいしては、医療費、食費、日用品費は原則自己負担としています。
また、施設への入所期間の長期化などを解消するとして、現行の施設体系を五年程度かけて再編。授産施設や福祉工場などの既存施設を、生活療養(医療型)・生活福祉(福祉型)、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援などの機能に応じた事業に整備するとしてます。
同日の会合で委員からは、自己負担のあり方を応能負担から応益負担へ変更することについて、「障害者にとって重大問題だ。見直しとセットにせず別途議論すべきだ」などの意見が出ました。