日本共産党

2004年10月28日(木)「しんぶん赤旗」

イラクで日本人拘束

「聖戦アルカイダ組織」 自衛隊撤退を要求


 【カイロ=小泉大介】カタールの衛星テレビ・アルジャジーラは二十六日深夜(日本時間二十七日午前)、イラクで日本人男性一人を拉致し人質にとったとする武装勢力がイスラム系ウェブサイトに流したビデオ映像を放映しました。拉致したのは、米軍がイラクでのテロ首謀者と指定するアブムサブ・ザルカウィ氏が率いるとされる「イラクの聖戦アルカイダ組織」で、日本政府が四十八時間以内に自衛隊をイラクから撤退させなければ、人質を殺害すると警告しました。

 小泉純一郎首相は「自衛隊は撤退させない」として、武装勢力の要求を拒否する方針を示しました。

 外務省などによると、男性は、福岡県直方市出身の香田証生さん(24)。ビデオに映し出された香田さんは白いTシャツ姿。覆面姿の武装勢力三人の前に座り、「小泉さん、彼らは日本政府に自衛隊の撤退を求めています。さもなくば、僕の首をはねるといっています」と話すとともに、小声で「すみませんでした。また日本に戻りたい」と語りました。

 香田さんを拉致した武装勢力はビデオの中で「われわれは日本政府に四十八時間の猶予を与える。この間に自衛隊を撤退させよ」と要求。さらにイラクでこの間拉致、殺害された米国人のニック・バーグ氏や英国人のケネス・ビグリー氏の名前をあげ、「自衛隊を撤退させなければ同じ運命を迎える」と述べました。

 武装勢力は、香田さんがイスラエル、ヨルダンを経由してイラクに入ったとしていますが、拘束場所や日時は不明。また自衛隊撤退期限が具体的にいつなのかは明確になっていません。

 イラクでは今年四月にも、ボランティアや報道関係者など五人の日本人が地元武装勢力により拉致されましたが、宗教指導者の仲介などで全員が無事解放されました。今回の武装組織は実際に外国人人質の殺害を繰り返してきたテロ勢力とみられています。


志位委員長が談話

 日本共産党の志位和夫委員長は二十七日、イラクでの日本人拘束事件について、次の談話を発表しました。

 一、イラクの武装集団による日本人拘束事件がおきた。いかなる理由であれ、人質をとり、要求が入れられなければ殺害するなどと脅迫することは、許すことのできない蛮行であり、ただちに解放すべきである。

 日本政府は、なによりもまず、人質の身柄の安全の確保と解放のために全力をつくすよう強く求める。

 一、大義のないアメリカの戦争と占領がつづくなかで、イラク情勢はいよいよ悪化している。アメリカの不法な戦争を支持した小泉内閣の誤った判断によって、自衛隊をイラクに派兵した結果、日本はいや応なしに、アメリカの不法な戦争と占領の一翼をになう立場に立たされている。わが党は、政府のイラク戦争支持の立場にも、自衛隊派遣の決定にも一貫して反対してきた。日本が、今後、国連の枠組みのもとで、主権をもったイラクの再建と復興に本格的に協力してゆくためにも、今回の事件をはじめ、この種の事件がひきおこされる地盤を取り除くためにも、政府は、自衛隊のイラクからの撤退をはじめ、対イラク政策の根本的な転換に取り組むべきである。



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