2004年10月30日(土)「しんぶん赤旗」
厚生労働省は、介護施設の利用者負担を引き上げる見直し案を検討中ですが、二十九日に開かれた社会保障審議会介護保険部会に、新たに自費負担となる水光熱費などの居住費、食費(ホテルコスト)を含めて、特別養護老人ホーム入居のケースで月額一人三万円を超える負担増になる試算を明らかにしました。
提案直後、これに抗議して日本医師会からでている委員が退席しました。
この日の部会で厚労省は、見直しの積み残しの議題となっている、介護保険料徴収年齢の引き下げ、それにともなう保険料額の試算を提示。ホテルコストの試算は、加入年齢引き下げと同時におこなう給付抑制措置の中身として具体的な負担額を示したものです
特養ホームの個室入居者(介護の必要度が高いケース)で見ると、居住費六万円、食費四万八千円のホテルコストに本来の自己負担となる一割負担分を合わせ、月額十三万四千円の利用者負担になります。現行は九万七千円から十万七千円の負担ですから最大三万七千円、年間で約四十四万円もの負担増になります。
相部屋についても居住費のうち光熱水費相当分をホテルコストとして徴収。現行五万六千円の利用者負担が八万七千円となり、月三万円余の負担増を求めています。
日本医師会の野中博委員は、「やむなく施設に入居している人が過大な負担をすることに、医療の現場にいるものとして我慢できない。この話にはのれない」とのべて退席しました。