2004年10月31日(日)「しんぶん赤旗」
【カイロ=小泉大介】イラク駐留多国籍軍を主導する米軍は二十九日、イラク中部ファルージャへの空爆を実施するとともに、同地への総攻撃態勢が整ったと言明しました。これは大量虐殺の再現を予測させるものです。また武装勢力によるこの間の相次ぐ外国人拘束には、米軍のこうした残忍な攻撃が背景にあるとみられます。
ファルージャ攻撃の中心部隊である米海兵隊第一遠征軍副司令官は二十九日、「われわれは大規模攻撃の準備を整えている。命令が出ればいつでもいける」「攻撃は決定的なものになる」などと述べました。
米軍は同日、ファルージャに約十発のミサイルを撃ちこみました。カタールの衛星テレビ、アルジャジーラによるとこの攻撃でイラク人四人が死亡、六人が負傷しました。米軍は今月半ば以降、同地への空爆をほぼ連日行っており、女性・子どもを含む民間人犠牲者が急増しています。ファルージャ西方約五十キロのラマディでも同日、米軍と武装勢力との間で激しい戦闘が発生しました。
米軍影響下にあるイラク暫定政府のアラウィ首相も二十八日、ファルージャ住民にたいし、テロ首謀者とするザルカウィ氏の身柄引き渡しを求め、「これが最後のチャンスだ」などと通告しました。しかし、ファルージャ住民は同氏の存在を否定、「攻撃の新たな口実だ」と批判しています。
米軍は今年四月、ファルージャとラマディへの大規模攻撃を実行、ファルージャだけで約七百人の住民が死亡するという大量虐殺を引き起こしました。そしてこの攻撃が、日本人をはじめとする外国人人質事件急増の決定的な契機となったことは広く指摘されていることです。
米軍の攻撃が激化するなか、ファルージャ住民有志はこのほど、次のような手紙を国連のアナン事務総長に送りました。
「米軍はいま、ファルージャで大量虐殺の罪を犯しています。強力な爆弾と戦車の砲撃を民間人居住区に降らせ、数百人の住民が死亡しています。米軍の攻撃は、停戦に向けファルージャの武装勢力が抵抗をやめている最中にも行われています。国連事務総長と世界の指導者に訴えます。新たな大量虐殺を防ぐため、直ちに行動を起こしてください」