2004年11月1日(月)「しんぶん赤旗」
イラクの首都バグダッドで日本時間の三十一日未明(現地時間三十日夜)、首を切断された男性の遺体が見つかり、政府は同日午前、遺体が武装組織に拉致された福岡県直方市出身の香田証生さん(24)であることを確認しました。指紋照合の結果、断定したものです。
町村信孝外相は三十一日午前、遺体確認を福岡県の香田さんの家族に電話で伝えました。政府は、在イラク駐留米軍のC130輸送機で遺体をバグダッドからクウェートに運ぶ予定です。
香田さんは「イラクの聖戦アルカイダ組織」を名乗る武装集団に拘束されました。武装組織は二十七日未明(同二十六日夜)、インターネット上で四十八時間以内にイラクから自衛隊を撤退させるよう要求。応じなければ香田さんを殺害すると警告しましたが、首相は「テロには屈しない」とこれを拒否しました。
二○○三年三月のイラク戦争開始後、イラクで殺害された邦人は同年十一月の外交官二人、今年五月のフリージャーナリスト二人に続き五人目。人質に取られ殺害されたのは初めて。
小泉純一郎首相は三十一日、「無辜(むこ)の民間人の命を奪った行為は非道かつ卑劣極まりない」との声明を発表しました。
一方で、公明党大会のあいさつで「日本にふさわしい活動を継続していく」と派兵継続を表明。事件が自衛隊のイラク派兵延長に与える影響について「それとは別ですね。今回の事件は直接影響しない」と、記者団にたいして強調しました。
その上で「イラクの情勢をよく総合的に考えて判断していかなければならない」と述べ、イラクの治安情勢、復興に果たす日本の役割や日米関係などを踏まえて判断する考えを示しました。