2004年11月2日(火)「しんぶん赤旗」
陸上自衛隊が十月、沖縄に駐留する米海兵隊特殊部隊の指導の下、イラク派兵も念頭に置いた都市型戦闘のための訓練を、グアムで実施していたことが一日までに分かりました。米国が進めている世界規模での軍事態勢再編で狙う、海外での日米共同作戦体制の強化を具体化する動きとしても重大です。
米海兵隊のホームページに掲載されているニュースによると、訓練は十月六日から十九日までの二週間行われました。米海兵隊が同訓練を自衛隊に行ったのは「初めて」としています。
陸自からは、中部方面隊の第三師団第三七連隊(大阪)に所属する一個歩兵中隊百十七人が参加しました。
沖縄の米第三海兵遠征軍特殊作戦訓練グループの教官十人が「都市型戦闘の基礎」を指導。米第三海兵師団の第三海兵連隊第二大隊G中隊(ハワイ)の四十六人も陸自隊員とともに訓練を受けました。
訓練の目的は「海兵隊と陸自がともに訓練し、戦術を共有することによって、都市型環境での任務をより効果的に遂行できるようにすること」。「陸自の兵士は(建物への)強制侵入や急襲のテクニック(技術)、(車列などの)護衛作戦、検問所の設置の仕方、都市型環境での中隊規模の作戦について学んだ」としています。
「今回の経験は、現在イラク・サマワに展開している…多くの日本の兵士に役立つだろう」という陸自隊員の声も紹介。車両に対する弾薬や武器の捜索訓練のためにつくられた検問所は「イラク中の道路に置かれているものと類似している」とも指摘しています。
所属の中隊が今回の訓練に参加した陸自第三師団は、来年四月にイラクに第六次隊として派遣される見通しだとも報じられています。(「中日」七月二十二日付)
米国は今、先制攻撃戦略に沿って世界規模での軍事態勢の再編・強化を進めています。その際、「同盟国の役割拡大」を重視。日本ではその一つとして「陸自との相互連関性の増大」(ファーゴ米太平洋軍司令官)を狙っています。