2004年11月7日(日)「しんぶん赤旗」
【カイロ=小泉大介】イラク多国籍軍を主導する米軍は五日夜から六日未明にかけて、かねてから総攻撃の警告を行ってきた中部ファルージャに対し三日連続となる激しい空爆と地上からの砲撃を加えました。救急車も出動できない状況で、正確な死傷者数はわかっていません。国連のアナン事務総長は五日までにブッシュ米大統領、ブレア英首相、アラウィ・イラク暫定政府首相に親書を送り、ファルージャへの大規模な爆撃をやめるよう求めました。
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米軍はこの間、バグダッドやその周辺から部隊を続々とファルージャに向け移動させており、五日夜までに同地近郊には海兵隊を中心とした一万人以上の米兵が展開し、周辺道路を完全に封鎖しているもようです。イラク暫定政府のアラウィ首相は五日、訪問先のブリュッセルで会見し、「(平和的解決に向けた)扉は閉じかけている」と述べ、米軍の総攻撃への事実上の同意を表明。ファルージャ情勢は総攻撃が切迫した極めて重大な局面に突入しています。
ロイター通信は、ファルージャ北郊で六日激しい戦闘があったと報じました。また同通信は東部で五日夜、少なくとも大きな爆発音が五回にわたり聞こえたとし、住民の話として空爆は過去数カ月で最大規模となったと伝えました。さらに同通信は、中心部の小規模病院が破壊され、ファルージャ中央病院の関連施設も損壊したと伝えました。これまでに民間人二人の死亡と七人の負傷が判明しています。
今年四月にもファルージャで住民約七百人を虐殺した米軍は今回の総攻撃の理由に、イラクでのテロ首謀者とされるザルカウィやそのグループの壊滅をあげていますが、ファルージャの圧倒的多数の住民はザルカウィの同地への潜伏を強く否定しています。大規模攻撃は市民の怒りをさらに拡大することになります。