2004年11月7日(日)「しんぶん赤旗」
新潟県中越地震の被災者が避難先で介護保険が適用されるか心配されている問題(四日付十面既報)で、厚生労働省介護保険課は六日までに、本紙の取材に「変更届けがない場合も、介護保険を適用する」と回答しました。
ケアプランの内容やサービス提供事業所を変更する場合、自治体に対して変更届が必要です。しかし、被災地では手続きを行うこと自体が困難な状態が続いています。
新潟・川口町から東京・国分寺市に避難した小川マツさん(89)の場合、避難先のケアマネジャーが、介護保険給付費の審査や支払い業務をになう国民健康保険団体連合会に問い合わせたところ、「正式な手続きを経ていないので、介護保険の適用とならない」と回答。ケアマネジャーは緊急プランでの対応を迫られ、全額小川さんの自己負担になりかねないと心配していました。
同省は四日、各自治体に対し「新潟県中越地震により被災した要援護高齢者等への対応及びこれに伴う特例措置等について」との通知を出しました。その中で、▽被保険者証がなくても氏名、住所、生年月日を申し立てればサービスを受けられる▽認定を申請していない場合でも、必要と認められる時は介護サービス提供ができる―などの特例措置を定めています。
小川さんの相談にのった東京・立川市の地域福祉サービス協会コスモスのケアマネジャー、奥津竹子さんは、「ポータブルトイレやデイケアの対応ができた時、『ありがとうございました』と手を合わせたマツさんの姿が忘れられません。車内で避難生活を送った数日間、ほとんど何も口にされなかったそうです。困り果てている人はもっといるはずなので、情報を早く広く伝えてほしい」と話しています。