2004年11月10日(水)「しんぶん赤旗」
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【カイロ=小泉大介】イラク駐留多国籍軍を主導する米軍は八日未明のファルージャへの地上部隊突入に続き、同日夜から九日未明にかけ、海兵隊を主力とした最大一万五千人の地上兵力を動員し、同地北西部と北東部から総攻撃を開始しました。攻撃にはイラク軍約三千人が加わっています。
ファルージャ市の東西から市内へ突入した米軍は、上空からの支援も受けながら中心部に向け侵攻。一部米軍部隊は九日午後の段階で中心部に達しましたが、抵抗勢力と激しい銃撃戦を展開しているとされます。
米軍はまた、市内全域に対し空爆を実施、民間人犠牲者が急増しているもようです。ロイター通信は住民の話として、中心部にある診療所が九日未明に爆撃され、スタッフや患者数人が死亡したと報じました。診療所には、八日未明に米軍が占拠した総合病院から患者が搬送されていました。同通信は医師の話として、八日には民間人十五人が死亡し、市内の医療体制は、診療所数カ所が開いているのみでほぼ尽きていると伝えました。
アラブ首長国連邦の衛星テレビ・アルアラビアの現地記者は九日、市街地の通りで民間人四人の遺体と多数の負傷者が取り残されているのを確認したと報じ、米軍は動くものすべてに爆撃を加えていると伝えました。同地ではすでに民家数百棟が破壊されているとの報道もあります。
ファルージャの政党幹部、カレド・ムハンマド氏は九日、本紙の電話取材にたいし、「市街地ではいたるところで炎や煙が上がっている。爆撃で倒壊した家屋では多くの住民が下敷きになって死傷した。民間人の犠牲者は報道の何倍にも達するのは確実で、救急車を呼ぶこともできない」と語りました。
米軍司令官は八日、退避した住民は五割から七割としており、現在も十万人前後の住民がファルージャにとどまっているとみられます。住民の多くは家に閉じこもっていますが、多くの地区で電気や水道の供給が絶たれ、商店が閉まっているため深刻な食料不足に陥っています。