2004年11月11日(木)「しんぶん赤旗」
【カイロ=小泉大介】イラク中部ファルージャに総攻撃をかけている米軍は十日も同中心部をはじめとする市街地に無差別で激しい銃撃と爆撃を加えました。子どもや女性を含む住民の犠牲が増え続けています。
ロイター通信は、自宅で腹部に銃撃を受けた九歳の少年が九日、激しい攻撃のため病院に運ばれずに出血多量で死亡、一歩も外出できないため遺体は自宅の庭に埋葬するしかなかったと伝えています。米軍の攻撃で九日までに市内の総合病院とすべての診療所が破壊されたため、九歳の少年のような例が無数にあるとみられます。赤十字国際委員会(ICRC)は同日、「負傷者が治療を受けられない状況を深刻に懸念する」との声明を発表しました。
米軍現地司令官は同市の70%を制圧したとしていますが、抵抗は激しく十日までに米兵十一人、イラク人兵士二人が死亡しました。
イラク駐留米軍のメッツ司令官は九日の記者会見で「攻撃は完了には程遠い」とのべ、市街戦が数日間は続くとの見通しを示しました。また同司令官は、総攻撃の最大の理由としてきたテロ首謀者ザルカウィ容疑者の消息に関し、「すでに脱出した可能性がある」などと述べました。
イラク暫定政府報道官は十日、同政府のアラウィ首相のいとことその妻ら三人が九日朝、武装勢力に自宅から誘拐されたと発表しました。「アンサル・アル・ジハード」を名乗るイスラム組織は十日、インターネット上に声明を発表、人質の解放条件として、四十八時間以内のファルージャ攻撃中止を要求、それが実行されない場合は人質を殺害すると表明しました。
日本共産党の志位和夫委員長は十日の記者会見で、米軍によるファルージャの無差別攻撃について「国際人道法に反する戦争犯罪が目の前に繰りひろげられている」ときびしく批判、野蛮な殺りく行為の即時中止を改めて求めました。