日本共産党

2004年11月12日(金)「しんぶん赤旗」

憲法調査会から

国際貢献も環境権も現憲法でこそできる

中央公聴会で暉峻、浅岡氏


 二〇〇〇年の設置以来二回目となる衆院憲法調査会の中央公聴会が十一日開かれ、午前中に埼玉大名誉教授の暉峻淑子氏、弁護士で環境問題NGO(非政府組織)代表の浅岡美恵氏、日本医師会会長の植松治雄氏が意見陳述。午後は、中曽根康弘、宮沢喜一の両元首相に武村正義元蔵相が出席しました。首相経験者まで出た公聴会は異例として注目を集めましたが、六人のうち、積極的に改憲論を展開したのは、中曽根氏ひとりでした。

改憲の狙いは集団的自衛権

 暉峻氏は、憲法のさまざまな人権規定は戦争を放棄した九条の規定と表裏一体だと指摘し、自国で人権の保障が行き届いてはじめて国際貢献ができるとのべました。「勝ち組み」「負け組み」などと呼ばれ人権が守られない状況が進んでいる背景には、人権に逆行する軍事大国化の流れがあるとのべ、競争による子どもたちの「序列化」や愛国心の強制・管理教育の強化は九条改憲の思想とつながっていると批判しました。

 日本共産党の佐々木憲昭議員が、九条と国際貢献の関係についてただしたのにたいし、暉峻氏はコソボ紛争のNGO活動の経験に触れながら「軍隊と一緒に人道支援はできない」とのべ、九条改憲の狙いは集団的自衛権の行使であると指摘しました。

 浅岡氏は、現在の憲法は個人の尊重や幸福追求権を定めた一三条、国民の生存権と国の責任を定めた二五条など包括的で先見性があると強調、「環境権実現のためには憲法改正は必要なく、具体的立法こそが求められる」と主張。また、「戦争は最悪の環境破壊であり環境権も九条改正で影響を受ける」とのべ、九条改憲に反対しました。

 植松氏は、医師会としてイラク戦争の即時終結を求める決議をあげたことにふれ、「医療者の立場から戦争や武力行使に断固反対する」とのべました。

積極改憲論は中曽根氏1人

 午後の部で意見をのべた中曽根氏は、前文の全面書き換えなど憲法の全面「改正」を主張。九条については「一項は維持しつつ、二項に防衛軍の存在を明記、三項で国際協力のための防衛軍の活用、武力行使、四項で文民統制の規定を盛り込む」と主張しました。

 そして、改憲へむけ「大連立」も含め「国会議員が努力を尽くすことが重要だ」と改憲派議員の結集を呼びかけました。

 武村氏は、「環境への責任」を新たに規定することなど改憲につながる主張をしつつ、「九条は日本の顔。軽々しく変えてほしくはない」とのべました。

 宮沢氏は、「憲法が現実に十分対応していないという意見もあるが、憲法は現実の発展に柔軟に対応できる」とのべましたが、「最終的には国民の判断」とし、改憲を容認する姿勢ものぞかせました。

 日本共産党の山口富男議員が「二十一世紀にも生きる憲法と考えるのか」と質問したのに対し、宮沢氏は「憲法は二十一世紀にも生きつづけてほしい」「憲法がどうなろうとも海外での武力行使はするべきではない」と答えました。

 また、武村氏は「九条を中心とした、憲法の平和主義を国会、国民のあいだで再確認することだ」とのべました。



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