日本共産党

2004年11月12日(金)「しんぶん赤旗」

“泥沼化に拍車”

ファルージャ攻撃

米国内で批判


 【ワシントン=浜谷浩司】米軍が大規模な軍事力でファルージャ総攻撃を強行するなか、米国では総攻撃が、長期的な平定の困難や反米武装勢力のイラク全体への拡散などの“泥沼化”に拍車をかけるとの見方が強まっています。

 ブッシュ大統領は十日、ホワイトハウスで記者団の質問に答え、ファルージャの状況についてケーシー駐イラク米軍司令官から報告を受けたと述べ、「非常にうまく進んでいる」との認識を示しました。イスラム教スンニ派勢力から一月に予定される選挙をボイコットするとの主張が出ていることについても、「(彼らが)選挙に参加すると確信している」と述べました。

 一方、『ニューズウィーク』誌(電子版)十日付論評は、ブッシュ政権が描く「中東と世界の模範となる幸福で繁栄したアメリカ型民主主義」というイラクの未来像は、「現実から完全に遊離」し、米国の有権者には心地よくても、イラク国民は賛成していないと指摘しました。

 さらに、ファルージャでの「殺りく」は信頼に足る政治計画なしに行われていると批判し、スンニ派住民は「可能な限りたたかい続けるだろう」と警告しました。

 『タイム』誌(電子版)八日付記事も、暫定政府のアラウィ首相にとっては反政府勢力よりも「ファルージャの政治的副産物」の方が懸念の的だとし、戦闘の長期的な評価は、多国籍軍と反政府勢力のどちらがスンニ派住民の心を獲得するかにかかっているとしています。

 また、一九九〇年代に国連の大量破壊兵器査察官としてイラクで活動し同国の状況をよく知るスコット・リッター氏は九日、カタールの衛星テレビ・アルジャジーラのホームページに掲載された論評で、ファルージャ攻撃は米軍の戦略的誤りを示していると批判しました。

 同氏は、ファルージャは「決戦」などではなく、問題は「ゼリー」のように「握り締めようとすればするほど、指の間からすり抜ける」とし、これこそ世界で最も強大な軍とたたかう上で「反政府勢力が想定した事態だ」と指摘。米国が「秩序回復」のために武力を使えば使うほど反抗を引き起こすと「暴力の連鎖」を警告し、ファルージャは「長期にわたる血なまぐさい段階の始まりになるだろう」「米国には勝利を収められない戦争だ」との見方を示しました。



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