日本共産党

2004年11月13日(土)「しんぶん赤旗」

逃げる市民に米軍銃撃 放置された遺体

ファルージャの惨状 現地ジャーナリスト語る

死の街


 【カイロ=小泉大介】イラク中部ファルージャは、米軍の総攻撃で多くの市民が殺害され、死の町と化しています。米軍は「武装勢力を市の南部に追い詰めた」と戦果を誇示していますが、現場からの証言は米軍による無差別殺りくの実態を生々しく伝えています。現地在住のジャーナリスト、ファディル・バドラーニ氏は十一日、衛星電話を通じ、ファルージャの惨状を本紙に次のように語りました。


 現在、ファルージャは米軍の支配下に置かれた北部と、依然として米軍と抵抗勢力が激しく交戦する南部との二つに分かれています。

 米軍による攻撃でファルージャの医療体制は最悪の状態で、市全域が停電し水道も止まっています。米軍は通信施設も爆撃し、電話回線も不通となっています。総攻撃が開始されて以降、ファルージャ総合病院は米軍に占拠されたままで、二日前には診療所が四発のミサイルで爆撃され、医師や助手、患者が死亡しました。

 市内には現在も約十万人の市民がとどまっていますが、爆撃や戦車からの砲撃など、無差別の攻撃にさらされています。米軍は市外に逃れようとする住民にも銃撃を加えており、通りには死体が放置されたままになっています。家屋に対する攻撃でも多数が死傷していますが、負傷者が治療を受けられず次々と命を落としています。食料不足により多くの子どもが死亡しています。いま、街頭には死臭がただよっている状態です。

 民間人の死傷者数はマスメディアの報道どころではありません。米軍は昨年のイラク戦争開戦からサダム(フセイン元大統領)体制崩壊までの間以上の、はるかに激しい攻撃を行っているのです。

 市内には約百二十のモスク(イスラム教礼拝所)がありますが、そのほとんどが米軍の攻撃により破壊されるか損傷したもようです。モスクは安全だと考えて避難した住民が殺害され、遺体はモスクの中に放置されたままになっています。死者の中には宗教指導者も含まれています。アルハサン・モスクには、化学物質を搭載したミサイルが撃ち込まれたと聞きました。

 ファルージャ住民は、この総攻撃を(イスラム教徒に対するキリスト教徒の)十字軍による戦争とみなしており、暫定政府はファルージャをせん滅するために米軍と共謀していると考えています。



もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp