2004年11月14日(日)「しんぶん赤旗」
【カイロ=小泉大介】カタールの衛星テレビ・アルジャジーラは十二日、米軍が総攻撃をおこなうイラク・ファルージャで米軍の拘束を逃れた数少ない医師の一人、アッバス・アリ氏の現地からの声を伝えました。その悲痛な叫びからは、米軍猛爆下のファルージャがまさに生き地獄と化している状況が生々しく伝わってきます。
ファルージャは悲惨な状況に置かれています。われわれは通りで住民の死体を日々見ています。けが人がいても彼らにたいし何もしてあげることができません。それどころか、彼らを避難させることもできません。
私たちには電気もない、水もない、食料もない、住民同士で連絡をとることもできません。市内ではいたるところで、子どもや女性が火に囲まれた恐怖から泣き叫んでいます。米軍はいたるところで爆撃をおこなっています。
私たちを助けてください。どうか助けてください。私たちは世界のすべての人々に訴えます。どうか私たちを助けてください。
私の住む地域(アルゴムフリア地区)には数千の家族がいます。米軍はスピーカーで外に出て降伏しろなどといっていますが、いたるところで爆撃と銃撃がおこなわれているなかでどうしてそのようなことができるでしょうか。
水も電気も食料もないなかで家に閉じ込められている数千の家族は、家でじっとしていて死を待つのと、外に出て銃撃されるのとどちらがいいのでしょうか。われわれにはどうすればよいのかわからないのです。
いま、私たちの耳に聞こえるのは子どもたちの叫び声と爆撃の音だけです。通りには数百の死体が放置され、その傍らには負傷者が横たわっています。しかし私たちには彼らを助けることができないのです。
私たちはアルジャジーラを通して世界の人々に訴えます。どうかこの声に耳を傾けてください。どうか私たちを、負傷者を、この悲惨から救ってください。