日本共産党

2004年11月15日(月)「しんぶん赤旗」

市内は「壊滅的状況」

赤新月社 中心部、物資配給できず


 米軍とイラク暫定政府治安部隊が侵攻したイラク中部のファルージャでは十三日から十四日にかけ、米軍側が南部の制圧に向け攻撃を続けるなか、住民被害が深刻化しています。

 ロイター通信によると、八日の米軍によるファルージャ総攻撃後初めて同市西端の病院に到着したイラク赤新月社(イスラム教国の赤十字社に相当)のアバディ報道官は十三日、市内の状況について、「壊滅的な状況だ」と警鐘を鳴らしました。

 イラク赤新月社は、援助物資などを積んだトラックと救急車計七台とともに、病院に着きましたが、治安悪化を理由に米軍が許可せず、市内中心部での物資の配給はできていないといいます。

 ロイター通信の電話インタビューにこたえた中心部に住む住民の一人、アブ・ムスタファさんは、「ラマダン(断食月)明けなのに、いまだに断食中だ」と、食料や水が不足する市内の窮状を訴えました。同氏の七人の子どもたち全員が激しい下痢をしているといいます。息子の一人は、爆弾の破片で負傷。アブ・ムスタファさんは、「昨日息子の出血が続いたが、何もしてやれなかった」と嘆きました。

 イラク暫定政府のダウド国務担当相(国家安全保障担当)は十三日、バグダッドで記者会見し、これまでにファルージャで武装勢力千人以上を殺害、二百人を拘束したことを発表。さらに、「作戦はほぼ終了した。わずかな抵抗勢力の拠点が残されているにすぎない」と述べました。

 米海兵隊司令官は十三日、七十二時間以内に、残された南部の制圧が可能との見方を示しています。

北部モスルで警官職務放棄

 一方、ファルージャ侵攻後、イラク中北部の治安が悪化、混乱の度合いを強めています。

 現地からの報道によると、北部の都市モスルでは、武装勢力が市の南西部を支配下に置き、イラク人警察官の多数が職務を放棄したといいます。これに対して、同市を担当する米軍司令官は十三日、ロイター通信に、「モスルが(米軍の)支配下にないという主張は誇張されている」としながらも、「問題は解決していない」と治安状況の悪化を認めました。

 暫定政府のアラウィ首相は十三日、モスルの治安回復のため、治安部隊を投入する方針を明らかにしています。

 イラク駐留米軍によると、バグダッド郊外でも軍事基地が十三日、武装勢力に攻撃され、多国籍軍兵士一人が死亡、三人が負傷しました。

 英BBC放送(電子版)によると、ファルージャ西方のラマディでも、米軍と武装勢力の衝突が続いているといいます。



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