日本共産党

2004年11月17日(水)「しんぶん赤旗」

米国務長官

後任にライス氏

パウエル氏辞意で米報道


 【ワシントン=浜谷浩司】ブッシュ米政権の四年間の外交を担当してきたパウエル国務長官は十五日、辞意を正式に発表しました。米メディアは、後任にはライス現大統領補佐官(国家安全保障担当)が就任すると報じています。

 ライス氏の後任には、核兵器使用論者のハドレー副補佐官が就任するとされています。

 国務省のバウチャー報道官は同日、パウエル長官に個人的に極めて近いアーミテージ副長官も辞任する可能性を示唆しました。

 パウエル長官は同日、記者会見し、「務めるのは一期だとずっと考えてきた」とし、ブッシュ大統領との間で「今が辞任に適切な時期だとの了解に達した」と述べました。また、後任が上院での承認を得るときまで国務長官としての活動を「全面的に行う」とし、当面の外交活動に支障がないことを強調しました。

 これに先立ってホワイトハウスは、「選挙が終わったいま、辞任し私人の生活に戻る時がきた」とする同長官の十二日付の辞表を公表しました。


解説

強硬路線の全面展開に懸念

 パウエル米国務長官が辞任を公表し、後任にライス大統領補佐官が有力視されていることに、米紙ワシントン・ポスト十六日付(電子版)は「チェイニー副大統領やラムズフェルド国防長官らの強硬路線の勝利」との見方を示しました。

 ネオコン(新保守主義者)の牙城であるシンクタンク「アメリカ新世紀プロジェクト」のシュミット事務局長は今回の動きについて、「肝心なことは、二期目にあたり自分の政策を攻勢的に推進しようという大統領の決意を示したことだ」(ロサンゼルス・タイムズ十六日付電子版)と述べています。

 チェイニー副大統領ら政権中枢がテロを口実とした先制攻撃の戦略など軍事優先の危険な対外政策を推進するなかで、外交のトップとして同盟関係の維持・構築に腐心するパウエル長官は“障害”となってきました。

 同長官はイラク戦争を「適法だ」と主張。イラク開戦直前の二〇〇三年二月には、国連安保理で、イラクが大量破壊兵器を保有しているとの「証拠」を列挙する演説を行いました。ウソで固めたこの演説は、世界を戦争に動員しようとしたものでした。

 それにもかかわらず、パウエル長官の「国際協調主義」は、軍事力行使を急ぐブッシュ政権の強硬派としばしば衝突しました。同長官の政権内での“孤立”がいわれたこともありました。

 パウエル長官は九日付の英紙フィナンシャル・タイムズで、第二期ブッシュ政権の外交が引き続き「攻撃的」になると指摘しています。今後、政権内で「国際協調主義」が弱まり、強硬路線の全面的展開が予測されることに懸念が広がっています。

 パウエル長官はブッシュ政権の閣僚の中で国民の人気が最も高く、国際的にも信頼を得ていました。その人物が政権を去ることで、ブッシュ政権の対外政策がさらに困難を抱えるとの予測もあります。(ワシントン=浜谷浩司)



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