2004年11月17日(水)「しんぶん赤旗」
【ベルリン=片岡正明】ハンガリー議会は十五日、同国のイラク派兵部隊三百人の駐留期限延長を求める政府提案を否決、イラク派遣部隊は駐留期限の切れる今年十二月三十一日で撤退することが決定しました。
ハンガリー国営テレビなどによると、三月末までの駐留延期を求める政府案に対する採決は、賛成百九十一、反対百五十九で、賛成の票が政府提案の承認に必要な三分の二に達しませんでした。
ハンガリーではイラクからの撤退を求める世論が強く、十五日発表の世論調査でも「即時撤退」が54%、「イラクの選挙実施後に撤退」が19%を占め、「必要な限り駐留」の意見は18%でした。
ハンガリーの撤退表明はイラクに派兵している欧州連合(EU)新規加盟国の中では初めて。同じくイラク派兵に反対の世論が強い隣国のポーランドやチェコなどにも大きな影響を与えそうです。
ジュルチャーニ首相は、議会の採決について「同盟国(米国)が期待しているような結果にならなかったが、国民の意向のほうが重要だ」と述べ、議会の決定に従う意向を表明。最大野党の青年民主同盟(フィデス)のイシュトバン・シミンコ議員は「イラクの選挙が実施されても秩序回復はままならない。国民の大多数の意見はイラク派兵反対であり、議会の決定は国民の意向に沿うものだ」と語りました。