2004年11月17日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 日本国憲法の平和条項「9条」を改悪しようとする動きが顕著ですが、同じ第二次世界大戦での敗戦国だった、ドイツやイタリアの憲法に平和条項などあったのでしょうか?(福島・一読者)
〈答え〉 イタリア、ドイツも、他国を侵略し戦争犯罪を引き起こした国であり、憲法でもその反省に立ち、平和をうたった条文がみられます。
イタリア憲法第11条は「イタリアは、他の人民の自由を侵害する手段および国際紛争を解決する方法としての戦争を否認する」と条件付きながら戦争の否認を宣言しています。続けて、「イタリアは、他国と等しい条件のもとで、各国の間に平和と正義を確保する制度に必要な主権の制限に同意する。イタリアは、この目的をめざす国際組織を推進し、助成する」とも述べています。
第1条1項で「イタリアは勤労に基礎を置く民主的共和国である」とされているように、同国の憲法は1948年、反戦平和、国民主権の機運の大きな高まりのなか制定されました。
一方、ドイツでは1990年、旧西独の基本法(1949年制定)が、統一後の憲法として引き継がれました。
同基本法26条1項は「諸国民の平和的共同生活をさまたげ、とくに侵略戦争の遂行を準備するのに役立ち、かつ、そのような意図をもってなされる行為は違憲である。このような行為はこれを処罰するものとする」と述べています。
両国とも、日本と異なり、憲法制定の当初から軍隊の保有を認めてきました。しかし、両国の戦後の歩みや平和にたいする姿勢は日本とは大きく違っています。独、伊両国の戦後史は、侵略への真摯(しんし)な反省に貫かれてきました。いま欧州では、平和と安定の国際秩序を目指す流れが進んでいます。両国は、周辺国との和解を進めるとともに、その流れを担っています。これに比べ日本は、侵略に無反省で米国に追随し、国際的な懸念と緊張を高め、かけがえのない憲法の平和条項に背いています。(坂)
〔2004・11・17(水)〕