2004年11月18日(木)「しんぶん赤旗」
自民党憲法調査会(会長・保岡興治元法相)がまとめた改憲案大綱の「原案」が十七日、明らかになりました。「自衛軍」の創設を明記したほか、海外での武力行使を可能にする集団的自衛権の行使、「国際貢献」を名目にした武力行使を列挙するなど、憲法の「平和主義」を骨抜きにし、「戦争をする国」へ転換する中身です。
「大綱」案は、国民は「国家の独立と安全を守る責務を有する」などと「国防の責務」を明記。また、首相が「国家緊急事態」を布告するとして、防衛・治安・災害などの口実で事実上の戒厳令をしく権利を与えています。同事態では、「基本的な権利・自由の制限」が可能とし、有事法制の考えを憲法に盛り込む内容となっています。
天皇については「元首」と位置付け、「万世一系」を連想させる「皇統」という言葉を復活させています。
いわゆる「新しい人権」については、肖像権、知る権利、犯罪被害者の権利などを列挙。一方で、「国防」や納税の責務のほか「社会保障その他の社会的費用を負担する責務」まで新たに加え、国民負担増にレールを敷いています。
また、国民に憲法擁護の「責務」を負わせ、権力を制限するという憲法の本質をゆがめようとしています。改憲手続きも、国民投票抜きに国会の三分の二の賛成だけで可能にしています。
同調査会は、起草委員会での原案論議をへて、来月初めにも総会で「大綱」を決定する予定。