日本共産党

2004年11月20日(土)「しんぶん赤旗」

米軍のイラク人負傷者銃殺

“助け求める者まで”

アラブ各紙 糾弾つづく


 【カイロ=小泉大介】イラク中部ファルージャのモスク(イスラム教礼拝所)で米海兵隊員が負傷した非武装のイラク人を銃殺したことについて、アラブ各紙は十八日付でも、前日に引き続きこの蛮行とファルージャ総攻撃そのものを厳しく非難する論調を展開しました。

米軍の行為は恥ずべき汚点

 「米軍は銃殺した兵士を調査・尋問するといっているが、われわれはそれに期待することはできない。軍上層部の責任問題をうやむやにするだけだ」。サウジアラビアのアルワタン紙はこのような見方を示したうえで、「ファルージャで発生していることは、米軍の行為による恥ずべき汚点であり、沈黙することなどできない。アラブ連盟をはじめとする国際組織は、この米国の邪悪の象徴である重大な人権侵害を厳しく糾弾しなければならない。そうしなければ、それはイラクの他の都市に、ひいては他国にも広がってしまうだろう」と強調しました。

 カタールのアッラヤ紙は「テレビの映像は、ファルージャで起きている恐るべき暴力のほんの一部にすぎない」「この暴力は、圧倒的に有利な軍事力によるものであり、多数の住民を街から追い出し、食料・医療援助を認めず、死傷者が街頭に放置されるほどの無差別の攻撃であり、聖域であるモスクでの銃殺までおこなわれた。これらの事実は、米国のいう民主主義や人権にたいする疑念をさらに深めている」と指摘しました。

 バーレーンの英字紙バーレーン・トリビューンは「銃殺された非武装の負傷者は、モスクに助けを求めにいったに違いない」とのべ、米軍の蛮行を非難するとともに、「『ファルージャは解放された』などと得意顔でいっているイラク暫定政府閣僚は、ファルージャに立ち上る巨大な煙が晴れたとき、いかに多くの無防備な女性や子どもが殺害されたかを語ることになり、米軍という先生に授業を受ける子どものような態度をやめなければならなくなる。赤新月社が『ファルージャの状況は大惨事である』といったことの意味を知ることになる」と強調しました。

 アラブ紙のなかには、米軍によるファルージャでの蛮行がさらなる抵抗の激化をもたらすと指摘する論調も目立ちます。

 エジプトのアルゴムフリア紙は「圧倒的な武力によるファルージャ攻撃は、女性や子ども、そして助けを求める負傷者までも殺害した野蛮な敵にたいする、より強固な抵抗をもたらすだろう。これはイスラエルによるパレスチナの町の破壊と無実の民の虐殺がパレスチナ人の抵抗に火をつけたのと同じである。米占領軍は二十一世紀の初めにおいてもその教訓を何も学んでいないのだ」と指摘しました。

国民の要求は満たされない

 サウジアラビアのアルリヤド紙は「ファルージャでおきていることは大虐殺の戦争である。これによってイラクではあらゆる悪い出来事の扉が開いてしまった」とのべました。その理由として同紙は、「イラクでは占領開始から一年以上が過ぎているのに、治安、電気、医療や食料のどれをとっても国民の要求は満たされていない。この占領の大失敗は、ファルージャの大虐殺を見たイラク人にたいし、さらなる抵抗の正当性を与えることになる」と強調しました。



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